19年に注目したい映画界5大トピックをまとめた。
・2018年、一人勝ち映画会社は東宝! 16年連続1位の強すぎる中味とは?
(1)年間総興行収入が歴代最高記録を更新する可能性大
年間総興行収入で歴代最高が16年の2355億円。同年は『君の名は。』250.3億円を筆頭に、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(116.3億円、15年12月公開だが、興収の大半は16年に含まれる)、『シン・ゴジラ』82.5億円とメガヒット作が連発した。
一方、19年は16年を上回るメガヒット期待作が目白押し。『君の名は。』が250.3億円をあげた新海誠監督の新作『天気の子』、255億円をあげた『アナ雪』の続編『アナと雪の女王2』と「興収200億円級」が2本揃ったのをはじめ、前作が108億円をあげた『トイ・ストーリー4』、『美女と野獣』(124億円)を参考にすると「100億円級」が期待できる実写版『アラジン』『ライオン・キング』とディズニー映画に期待作が多い。
(2)「映画館激戦区」池袋にシネコン。20年には2つめのシネコンも
池袋は映画館激戦区だ。シネマサンシャイン池袋(6スクリーン)と池袋HUMAXシネマズ(6スクリーン)を2大巨頭に、シネ・ルーブル池袋(2スクリーン)、シネマ・ロサ(2スクリーン)、新文芸坐(1スクリーン)がある。19年にシネコンをオープンさせるのは、シネマサンシャイン池袋を運営する佐々木興業。シネコンは12スクリーンで、IMAXも導入する。20年にはTOHOシネマズが10スクリーンのシネコンをオープン。新宿のように全体の観客動員数の底上げにつながるのか、パイの奪い合いになるのか、気になるところだ。
(3)ディズニーの動画配信サービス開始
ウォルト・ディズニーは19年下半期、動画配信サービス「Disney+」(ディズニー・プラス)をスタートさせる(日本でのサービスは不明)。オリジナルコンテンツが用意されており、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場したカシアン(ディエゴ・ルナ)を主人公にした実写ドラマ、『スター・ウォーズ』の人気キャラクター、ボバ・フェット&ジャンゴ・フェットをモチーフにした『ザ・マンダロリアン』、マーベルの人気キャラクター、ロキ(トム・ヒドルストン)を主人公にした実写ドラマが製作される。正式発表はされていないものの、スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)とヴィジョン(ポール・ベタニー)、ファルコン(アンソニー・マッキー)とウィンター・ソルジャー(セバスチャン・スタン)の2組を題材にした実写ドラマ2作も準備中と言われている。いずれも、映画版と同じ俳優が演じる。さらに『モンスターズ・インク』のテレビアニメ版、や『ハイスクール・ミュージカル』のリブート版が準備中だ。
08年の『アイアンマン』を皮切りに自社で映画製作を始めたマーベルは19年、『アベンジャーズ/エンドゲーム』で1つの区切りを迎える。マーベル映画を支えてきたアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ハルク、ソーが『アベンジャーズ/エンドゲーム』で卒業するのだ。今年の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』から新たなスタートとなり、スパイダーマンのほか、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、アントマン、ドクター・ストレンジ、ブラックパンサー、そしてキャプテン・マーベルがマーベル映画を引っ張っていくことになる。ただし、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは監督のジェームズ・ガンが過去の不適切発言によって3作目をクビになっており、今後の製作は不透明だ。
(5)「東宝グローバルプロジェクト」がスタート
映画会社別の総興行収入で16年連続で首位を獲得している東宝。日本映画界を牽引するリーダー役だが、19年のラインナップには2本の洋画が入っている。『名探偵ピカチュウ』『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』だ。どちらもハリウッドでの映画化に際しては東宝が中心的な役割を果たしており、同社では「東宝グローバルプロジェクト」と名付けている。20年には『ゴジラVSコング』(原題)と『モンスターハンター』が控えており、今年はプロジェクトのスタート年となる。東宝が邦画で培った配給宣伝戦略を洋画にどう生かすかに注目だ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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