『ボヘミアン・ラプソディ』クイーンとフレディをファンタジーに押し上げるための“史実との相違”

#音楽#映画を聴く#クイーン#ボヘミアン・ラプソディ#ラミ・マレック

『ボヘミアン・ラプソディ』
(C)2018 Twentieth Century Fox
『ボヘミアン・ラプソディ』
(C)2018 Twentieth Century Fox

【映画を聴く】2018年の総まとめ/前編
監督は途中降板、大ヒット功労者は誰?

2018年は、音楽映画もしくは音楽が印象的に使われた映画がいつにも増して豊作だった……はずなのだが、11月公開の『ボヘミアン・ラプソディ』が良くも悪くも全部持って行ってしまった感があり、他の作品がなかなか思い出せないでいる。

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「実はクイーンってそんなによく知らないんですけど、映画には大泣きしました」的な感想を、11月の公開以降どれだけの人から聞いたことか。かく言う僕もクイーンはリアルタイムではないし、超有名曲をかろうじて知っている程度で思い入れはほとんどないのだが、やっぱり映画の“ラスト21分”ではほぼ反射的に大泣きした。

もちろん映画には大満足だし、2018年を通してこれほど心を揺さぶられた作品はなかったけれど、いっぽうで1985年7月13日の「ライヴ・エイド」でのパフォーマンスを最大限に光り輝かせ、感動的にするため、逆算的にエピソードを積み上げていった構築力の巧みさに“泣かされた”ような気分もどこかにあり、手放しで「素っ晴らしい!」とは言えない自分もいたりする。

そのエピソードの積み重ねの過程で生じた“史実との相違”については、製作にメンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーが名を連ねていることを考えれば大目に見てあげるのがファンの愛情ではないかと。これにより「自分らしさの肯定」と「“家族”の絆」というテーマがよりくっきりと浮かび上がり、映画としてのドラマ性がブーストされたのは間違いないし、フレディ・マーキュリーとクイーンをビートルズやデヴィッド・ボウイに並ぶ“ファンタジー”として位置づけるためには必要な改変だったのではと思う。

ブライアン・シンガー監督が途中で降板、本作に関しての露出がいっさいないため、映画の大成功を誰が引き受ければいいのかわからない状況になっているが、ひとり挙げろと言われればやはりフレディ役のラミ・マレックだろうか。彼は顔的にプリンス役もいけるような気がする。プリンスの音楽をモチーフにしたミュージカル映画の企画が進んでいるということで、マレックの演じるプリンスが踊りまくるのを勝手に想像して楽しんでいる(後編へ続く…)。

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