『翔んで埼玉』も30億円越え!
上半期は邦画アニメ&実写、洋画実写から満遍なくヒット作が生まれた。トップ15を見ると、邦画アニメが4作、邦画実写が5作、洋画実写が5作を占めた。
邦画アニメはシリーズ作品が絶好調だ。上半期1位『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』は前作の興収91.8億円にあとわずかに迫り、7年連続でシリーズ最高興収記録を更新する可能性は十分だ。人気キャラクターの怪盗キッド、毛利蘭の親友・鈴木園子の恋人で最強の高校生空手家・京極真が劇場版に初登場、シリーズ初となる海外シンガボールが舞台という話題性で大人世代のファンをつかんだ。
7位『ドラゴンボール超 ブロリー』は前作を上回りシリーズ最高を記録した。17年ぶりに復活した劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』が13年に公開され29.9億円を記録。その後15年に『ドラゴンボールZ 復活の「F」』が37.4億円、そして本作が「ホップ、ステップ、ジャンプ」の大ヒットとなった。
洋画実写で勢いがあるのがマーベル映画だ。『アベンジャーズ/エンドゲーム』は前作を大幅に上回り、日本でのマーベル映画最高興収記録を更新。『キャプテン・マーベル』も20億円のスマッシュヒットとなっている。トップ15圏外だが、DC映画『アクアマン』のヒットと合わせて、日本でもアメコミヒーロー映画人気の裾野が広がっている。
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』は前作(73.4億円)からやや興収を落としたものの、根強い人気を見せている。健闘が光るのが『グリーンブック』。アカデミー賞作品賞に輝き、有名俳優が出演していないものの20億円を記録。作品賞受賞作としては『英国王のスピーチ』を上回り、ここ15年で最高記録となった。
邦画実写は、昨年上半期は『DESTINY 鎌倉ものがたり』32.1億円が最大のヒット作だったが、今年は『キングダム』『マスカレード・ホテル』『翔んで埼玉』が30億円を超えた。『キングダム』は原作マンガの1〜5巻を映画化、『マスカレード・ホテル』は東野圭吾原作の『マスカレード』シリーズ1作目を映画化しており、今後のシリーズ化に期待が持てそう。
[2019年上半期 公開作ランキング]
1位『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』89億円
2位『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』65億円
3位『アベンジャーズ/エンドゲーム』59億円
4位『キングダム』53億円
5位『映画ドラえもん のび太の月面探査記』50億円
6位『マスカレード・ホテル』47億円
7位『ドラゴンボール超 ブロリー』39億円
8位『シュガーラッシュ・オンライン』38億円
9位『翔んで埼玉』37億円
10位『名探偵ピカチュウ』28億円
11位『七つの会議』22億円
『コンフィデンスマンJP』22億円
13位『グリーンブック』20億円
『キャプテン・マーベル』20億円
『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン−失われたヒロシ−』20億円
(18年11月23日〜19年5月30日までの公開作品が対象。6月9日時点の興収/ムビコレ調べ)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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