名優ドナルド・サザーランドが死去…マイケル・ダグラス、ヘレン・ミレンら多くのセレブから追悼メッセージ相次ぐ

享年88、息子キーファー・サザーランドがSNSで訃報を伝える

クセの強いキャラクターから慈愛に満ちた紳士まで、1960年代からハリウッドを中心に国際的に活躍し続けた名優、ドナルド・サザーランドが20日（現地時間）に亡くなった。享年88。フロリダ州マイアミで長い闘病生活を送っていたいが、7月17日の89歳の誕生日を前にその生涯を終えた。

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息子で『24』シリーズなどで知られるキーファー・サザーランドはSNSに父と幼少期の自身のツーショット写真をアップし、「悲しみに沈む心で、父のドナルド・サザーランドが亡くなったことをお伝えします。個人的に映画史上で最も重要な俳優の1人だと思っています。善、悪、あるいは醜くても、役に怯むことは決してありませんでした。彼は自分の仕事を愛し、好きなことをしました。誰もそれ以上のことを望めません。充実した人生でした」と訃報を伝えた。

1935年にカナダで生まれ、大学卒業後に渡英して演劇を学び、1960年代から舞台や映画に出演。ロバート・アルドリッチ監督の『特攻大作戦』（67年）で注目され、ロバート・アルトマン監督の『M★A★S★H マッシュ』（70年）、ダルトン・トランボ監督の『ジョニーは戦場へ行った』（71年）、アラン・J・パクラ監督の『コールガール』（71年）、ニコラス・ローグ監督の『赤い影』（73年）、フィリップ・カウフマン監督の『SF/ボディ・スナッチャー』（78年）など数々の名作に出演し、存在感ある性格俳優の地位を築いた。ロバート・デ・ニーロらと共演したベルナルド・ベルトルッチ監督の大作『1900年』（76年）やフェデリコ・フェリーニ監督のもと主演を務めた『カサノバ』（76年）など国際俳優としても活躍、映画史に残る名作から低予算の珠玉作、最低映画を表彰するラジー賞候補作まで、あらゆるジャンルの作品に出演し、その中にはは日本映画『落陽』（92年）もある。

190センチを超える長身に鋭い眼光でロマンティックな主役から悪役まで、また1980年にロバート・レッドフォードが監督し、アカデミー賞４部門を受賞した『普通の人々』では長男の死をきっかけに崩壊していく中流家庭の気弱な父親を演じるなど、幅広い役をこなした。

近年は『ハンガー・ゲーム』シリーズのスノー大統領役やNetflix『ハリガン氏の電話』（22年）、TVのリミテッドシリーズ『フレイザー家の秘密』（20年）でニコール・キッドマンが演じる主人公の父親を演じた。2015年には息子キーファーと『ワイルドガン』で親子役で共演、長年の功績を讃えられ、2017年にアカデミー名誉賞を受賞した。

SNSでは数多くのセレブが名優の逝去を悼むメッセージを投稿している。

1991年の出演作『バックドラフト』のロン・ハワード監督は「私は『バックドラフト』で彼を演出する幸運に恵まれました。史上最も知的で、興味深くて夢中にさせる映画俳優の1人です。信じられないほど幅広い演技、創造的な勇気、そして最高の卓越性で物語と観客に奉仕する献身」とその才能を讃えた。

晩年の出演作『ムーンフォール』（2022）のローランド・エメリッヒ監督は「素晴らしい才能を持った伝説的なドナルド・サザーランドと『ムーンフォール』で一緒に仕事ができたことは、とても光栄なことでした。現代映画の真のスクリーンアイコンが私たちのもとから去りました。彼のご家族に心から哀悼の意を表します」と投稿した。

『ハンガー・ゲーム』シリーズの公式アカウントは「私たちは世界一優しい男性に、これまで見たことのないほど腐敗した冷酷な独裁者を演じてほしいと依頼しました。ドナルド・サザーランドの演技力と技量は、彼の伝説的なキャリアを決定づけた数多くのキャラクターの中に、また忘れがたい1人を生み出しました。私たちは彼を知ることができ、一緒に仕事ができたことを光栄に思っています。私たちの思いは彼のご家族とともにあります」と哀悼を示した。

『ハンガー・ゲーム０』（23年）でコリオレーナス・スノーの若き日を演じたトム・ブライスは「ドナルド・サザーランドは誰にも増して、演技という技術を極めることに限りなく近づきました。天才的な演技の数々。彼を個人的に知る名誉は得られませんでしたが、彼の足跡をたどることは生涯の名誉でした。史上最高の映画のキャラクターの1人を誕生させてくれてありがとうございます」と綴った。

『ディスクロージャー』（1994）で共演したマイケル・ダグラスは「なんと愛すべき、才能ある、そして好奇心旺盛な男性だったことか。RIPドナルド・サザーランド」と惜しんだ。

2004年にTV映画「死霊伝説 セーラムズ・ロット」で共演したロブ・ロウは「今日、私たちは偉大な俳優の1人であるドナルド・サザーランドを失いました。何年も前に彼と共演できたことは光栄であり、彼のカリスマ性と能力を忘れることはないでしょう。一流の演技を学びたければ、『普通の人々』の彼を見るように。キーファーに哀悼の意を表します」と追悼した。

『ロング, ロングバケーション』（17年）でサザーランドと夫婦を演じたヘレン・ミレンは「ドナルド・サザーランドは、私が一緒に仕事をした中で最も頭の切れる俳優の1人でした。彼は素晴らしい探究心を持っていて、幅広く様々なことに精通していました。彼は優れた知性と深い感受性、そして俳優という職業に対する真摯さを兼ね備えていました。これが彼を映画界の伝説にしたのです。彼は共演者であり、私の友人になりました。彼の存在がこの世にないことを寂しく思うでしょう」と声明を発表した。

カナダのジャスティン・トルドー首相はXに「私たちは偉大な人物の1人を失いました。ドナルド・サザーランドは、彼比類なき才能をその演技にもたらしました。傑出した伝説的俳優であり、偉大なカナダ人です。彼を愛する人々にお悔やみ申し上げます。やすらかに、ドナルド」とツイートした。

『コールガール』で共演し、一時期交際もしていたジェーン・フォンダは「ドナルド・サザーランドが亡くなったと聞いて呆然としています。彼は『コールガール』での魅力的な共演者であり、私たちは一緒に仕事をするのが大好きでした。この写真は、アラン・パクラ監督と『コールガール』のセットでのものです。ドナルドは素晴らしい俳優であり、複雑な男性でした。1971年にハワイ、沖縄、フィリピン、日本で6万人の現役兵士、水兵、海兵隊員のために行った反ベトナム戦争ツアー『FTAショー』など、数々の冒険を共にしました。私は胸が張り裂けそうです」とインスタグラムに綴った。

他にもイライジャ・ウッド、エドガー・ライト監督らが追悼を投稿している。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』（18年）や『雪山の絆』（23年）などのJ.A.バヨナ監督は2016年、サザーランドがコンペティション部門の審査員を務めた第69回カンヌ国際映画祭でサザーランドと会い、多忙にも関わらずバヨナの2012年の作品をわざわざ見たというサザーランドの温かい人柄が偲ばれるエピソードを綴った。

ドナルド・サザーランドが大きなスクリーンで私に与えてくれた素晴らしい瞬間のすべてを挙げることは不可能ですが、2つのイメージは永遠に私の記憶に残るでしょう。ニコラス・ローグ監督の『赤い影』における娘を失った父親の痛みと、フィリップ・カウフマン監督の『SF/ボディ・スナッチャーズ』での正体不明のエイリアンの恐怖です。記憶に残る映画のリストは長いものです。

数年前、カンヌ国際映画祭で彼とディナーを共にする機会に恵まれたが、彼はとても素敵な人でした。彼はその夜、『インポッシブル』を見てくれていて、翌日祝福の手紙を送ってくれたのです。彼はその年の映画祭の審査員で、見なければならない映画が膨大にあったにも関わらず。私はこのことを永遠に感謝します。そして彼の家族全員に大きなハグを」