映画興行の好調、特殊スクリーン急増、ディズニーの一人勝ち状態など、ビジネス面から見た、2019年の映画業界5大ニュースをまとめた。
【1】年間興行収入の新記録樹立へ
2018年の年間興行収入は2225億円。19年は前年より10数パーセント増で推移しており、11月22日公開『アナと雪の女王2』が大ヒット中。『君の名は。』『シン・ゴジラ』で沸いた16年に記録した史上最高の2355億円を上回り、新記録樹立となりそう。TOHOシネマズなど一部のシネコンでは6月から入場料金を100円値上げしており、これも年間興収増に寄与している。
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【2】年間動員数2億人なるか
16年の1億8019万人を上回り、2億人に届くのではと映画関係者は期待している。
映画業界の団体では「映画館へ行こう!」実行委員会を作り、「夫婦50割引」など動員アップの様々な施策を行っており、年間動員数2億人を目標に掲げている。2億人に届けば、1971年以来38年ぶりの快挙となる。
池袋にはシネマサンシャイン池袋(6スクリーン)と池袋HUMAXシネマズ(6スクリーン)という2つのシネコンがあるが、佐々木興業がシネマサンシャインを閉館して新たにグランドシネマサンシャインを7月にオープンさせた。年間動員200万人、売り上げ30億円を目標に掲げる大型シネコンで、12スクリーンを要し、IMAXレーザーや4DX with ScreenXと最新設備を備えている。池袋には20年にTOHOシネマズが10スクリーンのシネコンをオープン。新宿には3つのシネコンがあり全体の観客動員数の底上げにつながったが、池袋もそうなるか。それともパイの奪い合いになるのか、気になるところだ。
【4】IMAX、4Dシアターに続け!とScreenXドルビーシネマが急増
IMAXや4Dシアターなどシネコンに特殊スクリーンが増えているが、19年はScreenXとドルビーシネマが急増した。ScreenXは劇場の中央と両側面にスクリーンを設置した3面マルチプロジェクションシステム。17年にユナイテッド・シネマ アクアシティお台場が初導入し、18年は3ヵ所で導入。19年は6ヵ所で導入し、全国で計10ヵ所となった。
一方ドルビーシネマは立体音響技術「ドルビーアトモス」と映像技術「ドルビービジョン」で構成。ドルビーアトモスは劇場内の天井や観客席の周囲に数多くのスピーカーを配置し、あらゆる方向から音が聞こえてくる。ドルビービジョンは2台の4Kプロジェクターを使い、従来の劇場より2倍明るく、明暗のコントラスト比は500倍になる。18年11月にTジョイ博多が初導入し、19年は4ヵ所で導入し、全国で計5ヵ所となった。特に、東京・丸の内ピカデリー3はドルビーシネマ専用シアターとなり、ドルビーシネマのファン増加に一役買っている。
【5】ディズニーのフォックス買収が完了
17年12月に発表された、ウォルト・ディズニーによる、20世紀フォックスの映画・テレビ部門の買収。19年に買収手続きが正式に完了し、新体制がスタート。「20世紀フォックス映画配給」の表記は11月公開『ターミネーター:ニューフェイト』で終了。20年1月公開『フォードvsフェラーリ』からフォックス作品も「ウォルト・ディズニー・ジャパン配給」表記に変更となる。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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