2019年、洋画の年間興行ランキングをまとめた。
洋画の興行ランキング1位は『ボヘミアン・ラプソディ』(130億円)。通常の映画は公開から週を追うごとに興収が落ちていくが、逆に興収を伸ばして5ヵ月以上ロングラン上映。名曲の数々が観客を胸アツにさせる一方、劇中で描かれるフレディの苦悩や孤独(自らがゲイであることや容姿、国籍に対する偏見や差別)が現代社会にも通じる内容で幅広い世代の共感を呼んだ。
・2019年邦画ランキング1位は『天気の子』、『翔んで埼玉』も健闘!
ロングランヒットにつながったのが、公開後も話題性が途切れなかったこと。3週目の週末がフレディの命日、4週目の週末が世界エイズデーと節目が重なり、年明け1月にゴールデングローブ賞の結果発表とアカデミー賞のノミネート発表、2月25日にアカデミー賞の発表があり、長期間にわたり様々な角度からメディアが取り上げ話題となった。
映画を2回以上見る観客も多く、IMAXやドルビーアトモスなど特別スクリーンがリピーター増に貢献。さらに、応援の声を出しても構わない「応援上映」や音楽ライブ用の器材を用いた「爆音上映」が行われ、ライブ感覚で見るリピーターも多かった。
2位は『アラジン』(120億円)。ディズニーの名作アニメの実写化という抜群の知名度、アニメ版を知る大人にとってなじみの曲の数々、歌唱力に定評のある実力派俳優をキャスティングした日本語吹き替え版などが女性を中心に幅広い層に受けた。『グレイテスト・ショーマン』『ボヘミアン・ラプソディ』と音楽映画の人気が続いていることも追い風となった。
3位が『トイ・ストーリー4』(100億円)。3作目は10年に公開され、3D映画ブームもあり、2作目の3倍以上の興収108億円をあげた。今回は3D映画ブームの追い風がない中での100億円。『トイ・ストーリー』人気が幅広い層に定着していた表れだろう。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(6位)、『ジョーカー』(7位)とアメコミ原作映画2本が興収50億円超えのヒットとなった。『エンドゲーム』は前作『インフィニティ・ウォー』の37.4億円を大きく上回りマーベル映画最高記録を樹立。一方『ジョーカー』は00年以降のDCコミックス映画で最高を記録。どちらも日米同時公開でイベント性を高め、米国での評判が瞬時に日本に伝わるメリットを生かしてヒットにつなげた。(文:相良智弘/フリーライター)
[2019年 洋画ランキング]
1位『ボヘミアン・ラプソディ』130億円(以下、通貨単位は同様)
2位『アラジン』120億
3位『トイ・ストーリー4』100億
4位『ライオン・キング』66億
5位『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』65億
6位『アベンジャーズ/エンドゲーム』60億
7位『ジョーカー』50億
8位『シュガーラッシュ:オンライン』38億
9位『名探偵ピカチュウ』30億
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』30億
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』30億
(ムビコレ調べ。18年11月から19年11月15日までに公開された作品が対象)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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