(【独女のお勧め】前編「『家族を想うとき』で本気の“働き方改革”〜」より続く)
【独女のお勧め】後編/オスカー受賞作からNetflix作品まで、2019年にハマった映画はコレ!
少女から勇気をもらったあとは、人生の先輩からさらに背中を押してもらうのが一番ですが、そんなときに何度でも見たくなるのが『おしえて!ドクター・ルース』。90歳を超えたいまなお、現役のセックス・セラピストとして活躍している女性ドクター・ルースに密着したドキュメンタリーです。ホロコーストで孤児となり、スナイパー、シングルマザーを経て、3度の結婚を経験した百戦錬磨の彼女だからこそ言葉にも説得力のあるというもの。メモしておきたくなる名言の数々は、まさに“働く女性たちのバイブル”であり、ポジティブな思考もお手本にしたい女性の一人です。
毎年、年間の興行収入ランキングの上位にはアニメが多い傾向にありますが、独女的にオススメしたいのは、大人の女性が楽しめるアニメ作品。1本目は、『エセルとアーネスト ふたりの物語』。絵本「スノーマン」の著者で知られるレイモンド・ブリッグの両親が過ごした40年を20世紀の激動の時代と共に描いた物語です。本作は、イギリス版『この世界の片隅に』とも言われていますが、戦争に翻弄されながらも強く生きる人たちの姿から家族や幸せの大切さを教えられることに。どんなときも妻を支え、一途に愛し続けるアーネストには、2019年度「理想の夫No.1」の称号を送りたいところです。
続くこちらは、台湾版『ちびまる子ちゃん』を目指したという『幸福路のチー』。ひとりの少女がさまざまな出来事に見舞われながらも挫折と成長を繰り返し、自分らしい幸せのカタチにたどり着くまでが描かれています。その姿に、誰もが「これは自分の物語」と感じてしまうはず。本作は“アニメーション産業不毛の地”とされる台湾で生まれた珠玉の1作ですが、ソン・シンイン監督はなんと独学でアニメを習得するだけでなく、この作品のためにアニメーションスタジオまで作ってしまったという行動派。同じ女性としても感銘を受ける存在です。普段あまりアニメは見ないという独女でも、懐かしさと親しみが湧く作品。
邦画界も多くの力作が誕生した2019年でしたが、そのなかでも挑戦的な2作品をご紹介します。まずは、新星ヤング・ポール監督の長編デビュー作『ゴーストマスター』。低予算の“壁ドン映画”の撮影現場がまさかの修羅場へと化していく様が描かれており、ホラーあり、青春あり、コメディありの1度で何度もおいしい1本。近年、量産されているキラキラ青春映画や壁ドン恋愛ドラマに食傷気味の独女にとっては、見たことのない衝撃の壁ドンシーンに大爆笑間違いなし! 名作の数々にオマージュを捧げたネタも散りばめられており、映画ファンは心をくすぐられるはず。新たな才能を応援する意味でも、1票入れたい快作です。
こちらも映画でしか描けないテーマに挑んだ『MANRIKI』。原案に芸人の永野さん、プロデュースに斎藤工さんという異色の組み合わせが生み出したのは、想像の斜め上を行く作品。小顔になりたい女性の顔を万力で締め上げるという物語は思わぬ方向へと加速していきますが、絶妙なブラックユーモアは、ほかと一線を画すネタと独自の感性を持つ永野さんならでは。笑いと狂気の渦に巻き込まれ、ハマる人は万力に挟まれるがごとくドハマリする1本です。過度な承認欲求と美しさを追求しがちな現代に生きている独女たちは、自分のなかにある歪んだ欲望と向き合うことになるものの、「狂っているのは自分ではなく、この世界なのではないか」と気付かされるかもしれません。
以上、2019年に独女ライターがハマった映画10本でした。すでに、来年も話題作が次々と待ち構えているだけに、どんな作品が独女たちの心をつかむのかに期待したいところです。(文:志村昌美/ライター)
志村昌美(しむら・まさみ)
映画宣伝マンとして洋画や邦画の宣伝に携わったのち、ライターに転向し、現在は映画紹介やインタビューなどを中心に執筆。イタリアとイギリスへの留学経験を経て、日・英・伊・仏のマルチリンガルを目指すべく日々精進中。ハリウッドの大作よりも、ヨーロッパ系の小規模な作品の方が気になりがち。
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