いつ映画館に行っても必ず上映していると言っていい、少女マンガ原作のラブストーリー。食傷気味な方も多いんじゃないだろうか。しかし、ラブストーリーの名作コミックはたくさんある。そこで、映像化して欲しい“少女マンガ以外の”恋愛コミックを紹介したい。
「青のフラッグ」
青春の切なさと残酷さがグサッと胸に突き刺さる! ウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」で連載中のKAITO原作による少年漫画だ。ごくごく平凡な男子高校生の太一と引っ込み思案で大人しい二葉がメインの2人。幼馴染だが野球部キャプテンで学校のスターという太一とかけ離れた存在の桃真(とうま)が好きな二葉が太一に相談をして2人の距離が縮まっていく。彼らの恋は微笑ましいが、実は太一に想いを寄せている桃真、二葉が好きな女子、可愛くて同性から嫌われて拗らせてる女子などが描かれ、メイン2人も悩み、あぁもう辛い。毎話毎話、落涙必至。映像化するならぜひ芸達者な役者陣で実写化を。
・『ヲタクに恋は難しい』『ハイキュー!!』ほか、“原作映像化”期待作!
「我妻さんは俺のヨメ」
倉石ユウ原作・西木田景志漫画の「マガジンSPECIAAL」「少年マガジン」で連載されていた少年マンガだ。主人公は冴えない陰キャの男子高校生・青島等。10年後の未来にタイムスリップし、学校一の美少女である我妻亜衣が自分の妻になっていることを知った彼が繰り広げるドタバタラブコメディ。陰キャ仲間との非モテ言動が面白く、恋愛ではキュンとなって、主人公の成長に胸熱くなる名作だ。実写のドタバタはスベる場合も多いから、アニメで見たい。エピソードも多いからテレビシリーズでもいけるはずだ。
「娚の一生」が実写映画化された西炯子原作コミック。女性向け漫画誌「月刊フラワーズ」で連載されていた作品ではあるが、ヒロインは39歳で大人の恋愛が描かれている。不倫に疲れ東京から故郷に戻り図書館に勤務しているアラフォーのヨリは、結婚や恋愛はもういいと静かに暮らしている。しかし、彼女の前に中学時代に肥満児であった真木がイケメンの精神科医となって現れて……。イケメンならいいんかい!とツッコミたくなるが、アラフォー女性の心の揺れと、なんだかんだと体を重ねてしまう様が妙にリアル〜。実写化で生々しくリアリティいっぱいに描いて欲しい。
「私の少年」
これをラブストーリーとして映像化するなら細心の注意を払って、繊細に描かなくてはならない。なぜなら30歳のOLと小学生だから。高野ひと深原作の「月刊アクション」から「週刊ヤングマガジン」に移籍して連載中の青年漫画だ。OLの聡子はサッカー少年の真修と出会い、やがて真修がネグレクトを受けていると気づき、放っておけなくなってしまう。もちろん小児愛を描くようなものじゃない。当の聡子もそれはそれはもう悩みまくる。大人な子どもの真修も聡子の葛藤も感じつつ、聡子に恋愛感情を抱くようになり……。中学生にまで成長した真修と聡子はどんなラストを迎えるのか? 実写で見てみたい気はするけど、あまりに繊細な問題を扱っているから、あえてアニメがいいかも。
「来世は他人がいい」
「次にくるマンガ大賞2018」コミックス部門で第1位に輝いた小西明日翔原作の青年マンガ。ウェブサイトで発表していた作品をベースに現在は「月刊アフタヌーン」で連載中だ。主人公は極道の家に生まれた女子高校生の吉乃。祖父が彼女に持ってきた婚約話の相手は、極道の家の孫息子ながら紳士で人当たりが良くイケメンで成績も優秀な深山霧島。しかし、実は異常な破滅願望があり、人を人と思っていない暴力性と冷酷さを持つとんでもなくヤバい男だった! デビュー作「春の呪い」は重く苦しい愛の物語だった小西だが、今作はラブコメディ! 霧島は底が見えず、それぞれキャラが立ってて面白いのだ。力量ある監督に実写化をお願いしたい。(文:入江奈々/ライター)
入江奈々(いりえ・なな)
都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
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