2月発表の第92回アカデミー賞の前哨戦が次々行われているが、作品賞の行方を占うアメリカ製作者組合(PGA)賞が発表され、『1917 命をかけた伝令』が受賞し、大混戦の作品賞レースから頭一つ抜きん出た。
サム・メンデス監督と撮影監督のロジャー・ディーキンスが、全編ワンショットに見えるようあらゆる技術を駆使して撮った『1917〜』はアカデミー賞では作品賞、監督賞など10部門にノミネートされている。今回のアカデミー賞作品賞候補9本中で全米公開が最も遅かったが、ギリギリのタイミングで候補になった第77回ゴールデン・グローブ賞でいきなり作品賞を受賞。そして過去2年の受賞作(『シェイプ・オブ・ウォーター』『グリーン・ブック』)を始め、オスカー受賞に直結するケースが非常に多いPGA賞を受賞したことで、一気に勢いがついた感がある。
ただし、アカデミー賞に投票権を持つ会員が最も多く在籍する全米映画俳優組合(SAG)賞では、オスカー作品賞に匹敵すると言われるアンサンブル演技賞に『1917〜』はノミネートされていない。この点からも今年の賞レースは先が読めないのだが、2009年の第20回PGA賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』はSAG賞ノミネート、オスカーの俳優部門ノミネートなしで作品賞を受賞しているので、『1917〜』がそれ以来の快挙を成し遂げる可能性は十分ある。
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