『キミはロボット』
●殺伐とした財閥一家を変えたかわいらしいロボットの愛!
将来的に仕事のほとんどを奪ってしまうと言われているAI(人工知能)。そんな人間にとって脅威ともいえる存在を愛してしまったら…? コミカルに話が展開していきながらも、人間としての存在意義について考えさせられるファンタジーロマンス。
・イケメンで身体機能も知能も高度なロボットは女子の理想?! 『キミはロボット』その他の写真はこちら
1997年、チェコから一時帰国したロボット工学の研究者オ・ローラ(キム・ソンリョン)は、人工知能ロボットについての講義をしていた。当時まだ7歳の息子、ナム・シンも同席。そこへPKグループの専務、ソ・ジョンギル(ユ・オソン)率いる集団が現れ、後継者である夫が自殺で亡くなったと知らされる。それだけでなく、会長である義父ナム・ゴンホ(パク・ヨンギュ)の命令で跡継ぎ候補のシンを渡すよう言われ、半ば強引に奪われてしまう。気を取り直して義父宅を訪れたローラに「お母さんよりおじいさんと一緒にいたい」というシンの非情な一言が突き刺さる。しかし、それは母を守るために必死に演じていただけなのだった。天涯孤独な身となったローラはチェコに帰り、息子そっくりのナム・シンIを制作。2人で幸せな日々を送っていた。
15年後、PKグループの御曹司で本部長、ナム・シン(ソ・ガンジュン)は、両親の愛情を知ることなく育ったせいか屈折した性格に。一方、彼のSPの一人、カン・ソボン(コン・スンヨン)は、友人のチョ記者(キム・ヒョンスク)と共謀してシンのスキャンダルを盗み撮りして小銭を稼ごうとしていた。しかし、実はシンがチョ記者にお金を渡してソボンを陥れるという画策があり…。それは、混乱のどさくさに紛れて母のいるチェコまで会いに行くという計画だった。そんな彼の行動を見逃すはずがないジョンギルは、殺し屋にシンの殺害を依頼。シンは誰かに追われていることに気づきながらも、チェコの街角で自分そっくりのナム・シンIIIを見かけてしまう。お互いに見つめ合っているときに殺し屋に依頼された車にひかれてしまい…。昏睡状態に陥ってしまったシンを守るため、ローラはナム・シンIIIを身代わりとして帰国させるのだった。
●なんともたくましい! 一風変わったヒロインにも注目
このドラマの見どころの一つは、ひと味違うヒロインの魅力。元格闘技選手のソボンは男っぽくサバサバしているものの、お金にがめつく、図々しいところもある。幼い頃に母を亡くしており、ボクシングジム館長の父、カン・ジェシク(キム・ウォネ)と暮らしている。熱血漢で親バカなジェシクとソボンとのやりとりはほぼ父娘喧嘩だったりするのだが、実に人間らしくホッコリさせられる。ナム・シンIIIにクラブでの火事で助けられたことをきっかけに、シンのSPを無償で引き受けると言い出したと思いきや、実はジョンギルの差し金という裏があるわけで…。そんな少々お金に汚いところのあるソボンだが、ナム・シンの動向を探るためにいわばスパイとしてSPをやることになったのだった。
しかし、ナム・シンIIIがロボットだと分かってからは立場が逆転。一度はSPを辞めると言うものの、ローラやシンの秘書で総括チーム長、チ・ヨンフン(イ・ジュニョク)の説得に負けて純粋にシンを守ることを宣言する。しかし、「2人きりのときには私が親分、あんたは子分」というちゃっかりしたところも…。そんなソボンをナム・シンIIIも嬉しそうに見つめるのだった。
●人間よりロボットのほうが数倍かわいい!? ソ・ガンジュンの魅力も倍増
このドラマの最大の見どころは、ナム・シンIIIのなんともいえないかわいさ。人間のナム・シンは公衆の面前で女性を殴るような男なのに、ロボットのほうはいつも笑みをたたえ、とても感じがいい。ナム・シンIのときは階段を下りられずに倒れ、ナム・シンIIのときは「僕もお母さんのように笑いたい」と言い、その度にローラがバージョンアップを図ってきた。ナム・シンIIIになってからも、朝から機嫌よくローラに朝食を準備してくれるなど、実に羨ましいことばかり。これが人間の息子だったらこうはいかないだろうな、と思わずにはいられない。
また、身体能力はもちろん、知能も抜群。手を触ると嘘かどうかを見分ける能力も持っているために、ナム・シンIIIの前では嘘が通用しないのだ。どこに逃げても携帯のGPSで感知し、ストーカーのように追いかけてくる。そして、彼のキーワードは“泣いたら抱きしめる”。男女問わず泣いている人を見かけたら抱きしめるという機能が搭載されており、いちいち「泣いたら抱きしめる」と口にしながらやるものだから、クスっとさせられ、それと同時になんだか心がジーンと温かくなるのだ。
●主題歌『LOVE』も大人気! ソ・ガンジュンも挿入歌を披露
ロボットの純粋さを見るにつけ、自分をはじめ人間の汚さ、がめついところを反省させられることしきり。休校中の子供や在宅勤務の夫への優しさや思いやりを忘れがちな昨今、”ロボットの方がマシ“と言われないよう、せめて笑顔で感じよく、そして時には気の利いたことも言えるようになろうと思わせてくれるドラマであった。(文:渡邉啓子/ライター)
『キミはロボット』
BS12:毎週月〜金曜日 午後4:00〜5:00 放送中
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