『ルート29』公開記念舞台挨拶で綾瀬はるから撮影エピソード披露
映画『ルート29』が公開され、翌9日に公開記念舞台挨拶が開催。主演の綾瀬はるか、共演の大沢一菜に加え、綾瀬とプライベートでも親交のある市川実日子、森井勇佑監督が登壇した。
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市川と親交が深い綾瀬だが、本作の役づくりにあたって市川に相談したこともあったという。そのことについて市川は「元がキラキラしているので、のり子はとにかくキラキラを消した方がいい、ということは言いました」と振り返る。
綾瀬も「撮影の初日だったのでそういう話もしたし。あとはタバコを吸うシーンがあって。台本にはパンッとくわえると書いてあったんですが、わたしはタバコを吸ったことがなくて。だから(市川が)うちに来て、歩きタバコのやり方を一緒に練習しました。そこで『それ不自然じゃない?』といった感じで指導してもらいました」と明かすと、市川は「(綾瀬の)タバコを持つ手が不自然なので笑っちゃって。練習にならなかった。そんなはじまりでした」と語った。
続いて綾瀬が「これまでは、たとえばアクションならけいこを積んで、監督が細かく厳しく、立ち位置も決めたりして積み上げていくということが多かったんですが、森井監督はとにかく、わたしのこれまでの20何年の経験をそぎ落とすという作業をしていく、という感じがあって。無にならないといけないんだなと思いました」とコメントすると、市川が「むきたまごになったような感じです」と独特な表現で付け加え、会場をドッと沸かせた。
また、綾瀬は「初日の夜も役について一生懸命話したりして、プロデューサーさんみたいな感じなんです(笑)。お芝居だけでなく、芸能のお仕事についてまでも幅広く話をしたりしました」と市川に対して絶大なる信頼感を寄せている様子。のり子という役を演じるにあたっての、市川からのアドバイスは「誰もいない部屋にひとりでいる感じじゃない?」ということだったという。それには綾瀬も「わたしがいつもひとりで部屋にいる時って、のり子みたいな感じだよなと思った」と深く共鳴したようで、森井監督も「それを翌日(の撮影の時に)に言ってもらったんですよ。それはすごくいいなと思った」としみじみ語った。
そんな本作をあらためて鑑賞した市川は、「以前から役をまとっていないような、この方(綾瀬)の素材そのものというか。部屋にひとりでいるような役を見てみたいなと思っていたので、今回、脚本を読んで、すごい楽しみだなと思っていました」という。綾瀬も「試写会の後で実日子ちゃんが、すごくいいこと言ってくれたんです。自分で言うのもあれだけど…」と言いよどむと、市川は「何言ったんだろう?」と思い出せない様子。
それを聞いて「もう大丈夫です」と話題を遮ろうとする綾瀬だが、森井監督をはじめ、会場はみんな市川の感想を「聞きたいですね」と興味津々。そこで意を決した様子の綾瀬がゴニョゴニョと市川の耳元でささやくと、あらためて市川が「綾瀬さんの心がきれいな人なんだな、ということが分かるような映画だと言ったそうです」と明かし、観客の笑いを誘った。
一方、そんなふたりの仲良しぶりを目撃したという大沢は、「はじめて市川さんと会ったときはモデルみたいなだなと思ったんですが、トンボさん(綾瀬)とふたりで投げキッスをしながら遊んでいた時は、かわいいふたりだなと思いました」と明かして会場は大笑い。
「投げキッスなんかしてたっけ?」と思案顔の市川だったが、「初日から1ヵ月くらい開いてて、久しぶりだったから投げキッスをしたんだ(笑)」と納得した様子。そんな大沢との共演は「『こちらあみ子』という映画を見て、なんて魅力の塊の方なんだろうと思っていたんですけど、実際にお会いすると背が伸びていて大きくなられて。カッコいい方なんだなと思いました」としみじみ。その言葉に大沢も「20センチくらい伸びました」と照れくさそうに返答。綾瀬と市川も驚いた様子だった。
昨年、猛暑が続く中での撮影から始まり、ここ数ヵ月のプロモーションを経て。トンボ(綾瀬)とハル(大沢)の旅路もここでひと区切りとなる。そこで綾瀬と大沢の撮影風景をコラージュした特別メイキング映像「二人の夏休み」(1分40秒)がスクリーンで上映された。
優しい時間の流れの中で、徐々に距離を近づけていくふたりの姿を描いた映像を見た綾瀬は、「最初に映像を見た時に涙が出ました。いろいろと思い出して、本当にトンボとハルがいたのかなという感じがあって。年も違うのに、そういう違いをそんなに感じさせないような不思議なふたりだなと思って見ていました」としみじみ。大沢も「最初に見たときはすごく感動したから、1日に5回くらい見てます!」とお気に入りの映像であることを明かした。
ここで大沢に向けたサプライズが。撮影から今日まで一緒に旅を続けてきた綾瀬が、大沢のためにフォトアルバムを作成してプレゼント。フォトアルバムを受け取った大沢は「宝物にします」と笑顔。綾瀬が「どういうのが好きなのかなと考えながらつくりました。ただもうちょっと絵を描き加えたいので、後で引きとらせていただいていいですか?」と付け加えて、会場を沸かせた。
そんな和気あいあいとした舞台あいさつもいよいよ終盤となり、最後のメッセージを求められた登壇者たち。綾瀬は、「生きてるのか、死んでるのか分からないような不思議な人も出てきて、でも個々がそれぞれの意志を持っていて、みんながそれぞれに生きています。あまり死の世界も、現実の世界も、意外に区切りがないんじゃないかなと感じたり、あとは(大沢)一菜ちゃんが演じるハルがいつも自由で、いろんな変な人が出てきても否定せずにスッと受け入れてくれる。シンプルな言葉の中にやさしさがあって、わたしもハルみたいになりたいなと思う映画でした。また良かったら見に来てください」とメッセージ。
最後に森井監督が「この映画には、共鳴できる力があると思っていて、今回、トンボとハルというふたりが共鳴し合うことを描きたいと思ってつくりました。このふたりが過ごした特別な時間を、皆さんと共有できたらいいなと思ってつくりましたので、ぜひどこかでまた見ていただければ」と語った。
『ルート29』は現在公開中。
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