マチルダ・メイ主演『おっぱいとお月さま』
官能的なシーンが印象的な映画をピックアップして、女性目線で「一体何がどのくらいエロいか」を紐解く本コラム。今回は、ペネロペ・クルスの映画デビュー作『ハモンハモン』でメガホンを取ったビガス・ルナ監督が、男性の“おっぱい愛”をコミカルかつファンタジックに描いた『おっぱいとお月さま』(1994年)にフォーカス。
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監督の幼少期の記憶をもとに少年のおっぱいへの憧れを描いた本作は、1994年・第51回ベネチア国際映画祭で脚本賞を受賞した。ヒロインには、監督が「世界で一番美しいおっぱい」と称賛したマチルダ・メイを抜擢。作中では彼女の美乳をたっぷりと拝むことができる。
「僕だけのおっぱいが欲しい」と少年が願うと……
9歳のテテは弟が生まれたのが不満でならない。弟は、大好きなママのおっぱいを自分から奪った宿敵である。テテは「僕だけのおっぱいが欲しい」と月に願掛けをした。すると、テテのもとに超美乳の旅芸人の踊り子エストレリータ(マチルダ・メイ)が現れたのだ。彼はあっという間に彼女のおっぱいに夢中になった。
少年と青年が美乳の踊り子を巡って争奪戦
だが、彼女に恋心を抱いたのはテテひとりではない。小屋の電気工である青年ミゲルも、あっという間に彼女の虜になってしまったのだ。テテの願いはあの美しいおっぱいからミルクを飲むこと、ミゲルの悲願は彼女を我が物にすること、と年齢差に応じた恋のゴールのギャップはあるものの、大人と子どもが真剣にエストレリータ争奪戦を繰り広げる姿はコミカルで微笑ましい。二人にとって悩ましいのは、エストレリータが芸人の夫を持つ人妻であるということだ。夫婦は海辺のトレーラーハウスで暮らしている。
少年は「ミルクが飲みたい」と直訴、青年は小鳥のように歌で求愛
テテとミゲルは、ことあるごとにトレーラーハウスの周りをうろついてはエストレリータへの接触を試みる。ミゲルがパンティーを盗めばテテはブラジャーを盗む、といった具合に互いをライバル視しながら、彼女と親しくなるチャンスを狙っていた(下着を盗むのが良策とは思えないが)。
そんなある日、テテは無邪気な子どもの特権を利用してエストレリータに「ミルクが飲みたい」「ママはくれないんだ」と直訴する。するとエストレリータは快く左胸を露わにして、テテにミルクを与えるのだった。美しい青空をバックに美乳から放物線を描いてテテの口にミルクが注ぎ込まれるファンタジックなシーンは、この映画のハイライトの一つではなかろうか。彼女の美乳をたっぷりと拝めるおいしい個所でもある。
一方のミゲルも負けていない。得意の歌で求愛を試み、昼も夜も雨の日もトレーラーハウスの外でフラメンコを歌っては、ウグイスのように彼女に愛を伝え続けるのだった。
不能の夫とマニアックな踊り子のベッドシーンがまたエロい
一方、エストレリータと夫は深く愛し合っていたが夫は不能であり、ベッドで愛の言葉を交わすことはあっても肉体的に彼女を満足させることができずにいた。夫のモーリスを演じたのは、当時私生活でもエストレリータ役のマチルダ・メイのパートナーであったジェラール・ダルモン。合体こそないものの、ちょっと変わった嗜好の持ち主であるエストレリータと夫のベッドシーンはかなりエロティックである。彼女は足の指を舐めるのが好きだ。足の匂いにも欲情するらしく、夫の足指の風味をカリフラワーやブルーチーズと形容しながら嬉々として口に含んでいく。この二人が実際にパートナーだったと思うと、このシーンのエロ度も増すというものだ。
彼女は涙フェチでもあり、夫の涙を小瓶に貯めている。小瓶の中の涙を指先に取って愛おしそうに舐めるシーンも、なかなかマニアックである。ある時には、下着姿の夫の股間に突き立てたバゲットを妻が片手で握りながら先端からかじっていく。このシーンも、ユーモラスで馬鹿げているもののなかなかエロい。
青年はついにトレーラーハウスで……
不能の夫を持つエストレリータの心の隙間にミゲルが入り込むのに、さほど時間はかからなかった。いつしか2人は、夫の留守を狙ってはトレーラーハウスで逢瀬を重ねるようになる。ミゲルは、夫が満たすことのできない欲望を満たす存在になったのだ。二人のベッドシーンでも、エストレリータの美乳を拝むことができる。
本作は、少年のおっぱい愛と青年のおっぱい愛が交錯するちょっとエロくてファンタジックなコメディーであり、男女を問わず楽しめる作品だと思う。鑑賞後は、何かほっこりした温かいものが心を満たしてくれるだろう。(文:春蘭/ライター)
『おっぱいとお月さま』<ニューマスター版>
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