指名手配犯・桐島聡の半世紀に及ぶ逃亡と孤独な晩年…その末に見たものとは?

#中村映里子#古舘寛治#映画#杉田雷麟#足立正生#逃走

『逃走』
(C)「逃走」制作プロジェクト2025
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桐島聡を演じるのは古舘寛治、特報映像も公開に

安倍晋三元首相銃撃犯を描いた問題作『REVOLUTION+1』(22年)の足立正生監督最新作『逃走』より特報と場面写真を紹介する。本作で語られるのは、半世紀に及ぶ逃亡の末に、末期がんで孤独に亡くなった、東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡だ。

・【動画】重要指名手配犯・桐島聡、最期の4日/映画『逃走』特報

・『逃走』場面写真はこちらから!

社会運動が高揚していた1970年代の日本、新左翼過激派集団「東アジア反日武装戦線“さそり”」のメンバーであった桐島聡。若き桐島は重要指名手配犯とされ、いつ逮捕されるかわからない緊張感の中、逃亡を続けていた。生活を繋ぐため日雇い仕事を転々とし、数10年前からは「内田洋」という偽名を使い、神奈川県藤沢市内の工務店で住み込みの仕事に就くようになる。

1960〜1970年代のブルースやロックを好み、月に一度、音楽好きが集まる藤沢市内のライブバーに足を運んでいた。趣味を楽しむ一面があったものの、かつての仲間たちの存在が常に脳裏に影を落としていた。メンバーの獄中闘争、超法規措置により国外に出る仲間たち、自ら命を絶った者——。桐島はそうした仲間たちの姿を思い浮かべながら、日本社会の欺瞞や凋落を孤独に見つめ続けていた。

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2024年、70歳となった桐島は末期がんと診断され、病院のベッドで生死の狭間を彷徨う。薄れる意識の中で浮かんでくるのは、東アジア反日武装戦線としての活動、仲間と逃亡を続けていた当時の記憶。彼が生涯を賭けて追い求めたものは何だったのか。半世紀にわたる逃亡生活の果てに、彼は何を得ようとしたのか。死の間際に「私は桐島聡です」と名乗り出て何を表現しようとしたのか。足立正生監督が自らの半生と重ね合わせながら、桐島の苦悩と決意を描き出す。

『逃走』

監督の足立は映画監督・若松孝二作品の脚本を量産、大島渚作品にも参加するなど異色の世界観を多数書き上げてきた。その後、日本赤軍に身を投じ、27年間日本を離れ、帰国後再び映画監督として活動を再開した。「偽名で生きた内田洋から桐島聡への回帰、そこには多くの謎があり、逃亡生活の終焉と自らの死を予感した“革命への確信”その証は、映画でしか描けない」と始まった本作のプロジェクトは、足立監督が自ら脚本も担当し、程なくしてクランクイン、そして荒々しいスピードで劇場公開となる。

主演の桐島聡には、足立監督が出演を熱望した古舘寛治。名バイプレイヤーとして数々の映画・ドラマに出演し、近年では、マーク・ギル監督『レイブンズ』(25年)やピエール・フォルデス監督『めくらやなぎと眠る女』(24年)、レオス・カラックス監督『アネット』(22年)、一木正恵監督『アナウンサーたちの戦争』(24年)など国内外の監督からの信頼も厚い。本作では謎の多い桐島を寡黙に佇む立ち姿からも、さまざまな感情を想起させるような奥行きのある演技で魅せる。

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そして、『半世界』(19年)で第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第34回高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞し、話題作への出演が続く杉田雷麟が若い頃の桐島を演じた。また、桐島と恋仲になる女性に中村映里子、桐島と共に逃走する宇賀神寿一にタモト清嵐、そのほか吉岡睦雄、松浦祐也、川瀬陽太、足立智充など個性的な面々が脇を固める。

撮影監督を務めたのは、足立監督と日本大学芸術学部映画学科からの学友であり、是枝裕和監督作品や多くのテレビドキュメンタリー、記録映画などのカメラマンとして知られる山崎裕。足立監督とは『断食芸人』(16年)以来9年ぶりとなる。エグゼクティブプロデューサーには、「ライブハウスを創った男」と称され、1970年代以降の日本ロック史を語るうえで切り離すことのできない、ロフトグループの創業者・平野悠。

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音楽はノイズ的な作品からポップスに至るまで数々の映画・ドラマ音楽を手掛ける大友良英。挿入曲には、1969年にバリケード封鎖された早稲田大学構内で行なわれた山下洋輔トリオによる壮絶なフリージャズライブ音源「DANCING古事記」が使われている。

今回紹介する特報では、古舘が演じる桐島聡の「私の本当の名前は…」というセリフから始まり、東アジア反日武装戦線のメンバーだった当時の様子や、偽名を使って別人として生き始めた過去から現代に至るまでを振り返る映像が映し出される。

さらに、特報では描かれていなかった杉田が演じる若き日の桐島の動向や晩年期の姿を捉えたシーンなどを含む全17点の場面写真も解禁となる。

『逃走』は2025年3月15日より全国順次公開。