中島「自分のありのままを表現したので、どういう風に受け取ってもらえるか」
映画『知らないカノジョ』の完成披露試写会が開催され、主演の中島健人をはじめ、milet、桐谷健太、風吹ジュンらメインキャストと三木孝浩監督が登壇。初お披露目となる本作の見どころや、登壇者からお互いの撮影中のタレコミ情報などのトークを繰り広げた。また、ある日突然“もしも”の世界へと変わってしまう本作の内容にちなんで、ステージ装飾が一瞬で変わる演出も。
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本作への参加で1つの大きな夢が叶ったという中島は、「ついに念願の三木組に入ることができました」と目を輝かせる。三木監督も10年前から中島と仕事をしたかったと明かすと、中島は「光栄です。ずっと憧れていて、三木さんに俳優としてのナチュラルな部分を引き出していただきたいなと思っていたので、今回の機会をいただけてとても幸せでした」と喜びを口にした。
一方、三木監督は、ファンも知らない中島の姿を引き出したいと思っていたそうで、「パブリックイメージ的にはパーフェクトアイドルなんですけど、弱さだったり素の中島健人ってこんなにキュートなんだっていうところがたっぷり撮れていると思うので、ぜひそこを見ていただきたいなと思います」とアピール。
中島は「ナチュラルな部分が赤裸々に切り取られているので、正直、見られるのが恥ずかしいです。(本作を見た際に)俺ってこんな表情していたんだって。すっぴんを見られるくらいの恥ずかしさがありました」と照れ笑いを浮かべつつ、「自分のありのままをしっかりと表現したので、どういう風な印象を受け取ってもらえるかわからないんですけど、自分の中では見たことがない自分に辿り着けた気がするし、それが自分の素だったのかもしれないので、それを三木監督に引き出してもらえて嬉しかったですね」と声を弾ませた。
そして、シンガーソングライターのmiletは、撮影の約1年半前から演技のレッスンを受けるなど準備をしたそうで、「こんな経験ができると思っていなかったので、歌手としての人生の“もしもの世界”は、私にとってはこっちかなと思いました。新しいmiletを見ていただけるなと思いましたし、私もミナミを通して新しい人生を見つけることができて、今までにない経験をさせていただけたなと思います」と感慨深げに語った。
miletは主題歌「I still」や劇中歌「Nobody Knows」の制作に加え、劇中では歌唱シーンにも挑戦している。「今回はミナミとしての曲を作りたいと思ったので、ミナミと一緒に曲を作っているような気持ちでした。1人だったら作れなかった感情の波とか、言葉をミナミが引き出してくれたなって思います」と目を輝かせ、「1人で作るよりももっと大切な曲になったし、それをスクリーンの中で歌うことができて、リクだったり大切な人に届けることができて、この歌はmiletのものではなくて、もっといろんな方にとっての大切な曲になっていくんじゃないかと思いました」と期待を寄せた。
そんな曲について、中島は「何度聞いても涙腺を緩まされるというか、今回の『I still』に関してはミナミというフィルターを通して制作されているので、よりイノセントで違った形で耳に入ってくるというか、撮影中、何度も心を揺らされ、涙した記憶があります」と大絶賛。miletは「嬉しい!」と大喜びした。
リクの親友で先輩の梶原恵介を演じる桐谷は、『ソラニン』(10年)『くちびるに歌を』(15年)に続いて三木監督作品に3度目の出演となり、中島とは『ラーゲリより愛を込めて』(22年)で一緒になり親交が深いそう。三木監督は「健太兄貴は本当に頼れる」と舌を巻き、中島は「僕のパーソナルな部分をプライベートでもお話ししている兄貴なので、逆に作品の中でもウソのない感情で接していて、セリフもナチュラルに会話できたし、キリケンさんに会えるというのが嬉しかったです」と笑顔を見せた。
改めて、本作へのご出演が決まった際の心境を聞かれた桐谷は、「『どうやら最初のほう、大学生(役)らしいで』って! 大学生は“もしも”というより“まさか”と思いましたね」とコメントして会場の笑いを誘い、「フタを開けたら4浪をしている設定になっていましたが、やりがいがあるなと思いましたよ。堂々と大学生をやらせていただきました」と胸を張った。
ミナミの祖母・前園和江を演じた風吹は、本作を見て「感動で涙が止まらなかった」と絶賛。「役者陣からの三木監督の人気の高いこと。1度出演すると、またお会いしたいって思う監督ですから、本当に素敵な現場でした」と話した。
現場で印象に残っていることを聞かれた三木監督は、「ラブストーリーって、主人公とヒロインの相性を大事にしているんですけど、2人ともアーティスト活動をしているので、共鳴し合う部分がすごく多くて、序盤にデートシーンからスタートしたんですけど、そこから息がぴったり合っていて、ずっとデートシーンを撮っていたいなって思いましたね(笑)」と振り返った。
その裏話に対して中島も「2人でいい感じにアンサンブルができた気がしたよね」と言い、miletも「本当にそうでした。私はセリフを言うのが不安で仕方がなかったので、アドリブだけで演じられるシーンがいくつもあって、そこでお互いの波の高さを揃えられた気がして、あれが序盤にあって救われました」と安堵した。
また、中島は行き詰まってしまう場面があったそうで、「三木監督がほしい表情がなかなかできなくて僕も困っていて、本番の直前まで悩んでいたらmiletちゃんから直前に『リク、私たちは愛し合っていたんだよ』って言われて、『本番、ヨーイ!』で号泣しちゃって、すごい魔法の言葉を持っていて、とてつもないお芝居の力を目の当たりにして、(miletと)いい演奏ができた気がしますね」と満足げな表情を浮かべ、miletは「すごくきれいな涙でした。大好きなシーンです」とおすすめした。
そして、本作のタイトルにちなみ、共演者同士の知らないタレコミを暴露し合う企画が実施された。「撮影中強制退場!」とタレコミをした三木監督は、最後のミナミの歌唱シーンのリハーサルで、中島を会場から退場させたと明かし、「ミナミが登場しただけで(中島が)もうウルウルしてるんですよ。これは本番前なのにやばいぞってなって『出ていって』って言いました」と説明。
中島は「僕が感情移入をしすぎたせいで、ミナミを見るだけで泣いてしまうような状態でしたので、一旦帰されました(笑)。家に帰ってから気持ちを作りなおして、本番に挑んだんですが、涙の調節が大変なくらい、歌の力で涙を引き出されてしまっていました」と語った。
続いて、「アドリブでチュー?」とタレコミを暴露した桐谷は、「タレコミも何もしっかり本編に映っているんですけど、僕が演じる梶原がいい案を出して、リクが喜ぶというト書きだったんですけど、(中島に)テストからいきなりチューされて、大胆な子だなって思いました。初めましてだったら遠慮してできないと思うので、健人との普段の間柄も映像にいい風に反映されたんじゃないかなと思います」と手応えをにじませた。中島は実は事前に三木監督には伝え、OKをもらっていたそうで、「突然のキスになってしまってすみません」と桐谷に謝罪した。
最後に、miletは「初挑戦の映画が三木監督のこの作品で本当によかったなと思っています。ミナミという役を通して、大切な人がそばにいるって当然じゃなくて、かけがえのないことなんだって思わされました。皆さんがもしもの世界に飛び込んだときに、どんな行動をして、どんな風に人を大切にするのか考えながら見ていただきたい作品になりました」とメッセージ。
中島は「映画人生の中で10本目の作品となります。三木監督の作品でご一緒できて、念願叶って夢を叶えることができて嬉しいです。普段気づけない大切な何かが分かる愛情あふれた作品になっております。みなさんの心の奥底に届きますよう、僕も思いを込めているので、ぜひ愛してください」と呼びかけた。
『知らないカノジョ』は2月28日より全国公開。
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