動画もシェアする時代。プラスワンでお手軽に放送品質で配信できる3モデル
#blackmagic#ZOOM#オンライン会議#キャプチャーボード#テレワーク#ネットワーク配信#ライフスタイル#動画
テレビでもリモート出演が当たり前のようになった昨今、私たち個人も、お気に入りの映像や音楽、ゲームなどをオンラインでシェアするコミュニケーションスタイルが一般化しつつある。YouTuberでなくても、Instagramのストーリーズで日常を動画にしたり、スマホの動画編集アプリで作成したショートムービーをTikTokでみんなに見てもらったり。写真だけでなく、動画だって趣味の合う人に見てもらいたいものだ。
加えて昨今テレワークやオンライン会議で、否応なくノートPCやiPadを使い、Zoomなどで動画の共有をはじめた人も多いだろう。そうすると、PCやiPadの内蔵カメラでは映りが気になり出す。最小限の出費で、もっと快適かつスマートにならないものかと考えるのが自然だ。
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新しく大げさなカメラを購入したりせずに、もし手持ちの使い慣れたビデオカメラ、デジタルカメラをWebカメラとして使えたら。そして、テレビ番組のようにいくつかのカメラを瞬時に切り替えたり、二画面で表示したりすることができたら……。
そんな要求に応える“プラスワンアイテム”が、放送業界向けの製品で定評のあるBlackmagic Design(ブラックマジックデザイン)から2019年秋に発売されたATEM Mini(エイテム・ミニ)だ。その機能をもってすれば10万円以上でもよいところ、35,980円(直販価格・税別)と驚異的なコストパフォーマンスで業界の話題を独占した。
はじめての動画共有に事実上一択。テレワーク需要で爆発的人気の「キャプチャーボード」+スイッチャ
カテゴリーでいえば、ATEM Miniは、最大4つの映像を切り替える機能を持つ「スイッチャ」である。ただこのモデルのいちばんの魅力は、どんなカメラでもHDMIで入力することができれば、等しくWEBカメラとして扱ってくれるところにある。
通常、デジタルカメラやビデオカメラはHDMI端子ないしUSB端子を持っている。ただし、その本来の目的は、録画した内容をそのまま本体で再生しテレビなどの外部ディスプレイで見るためのものだ。したがって、変換ケーブルなどを使って端子のカタチを変えてみても、そのままPCげばPC側はそれを外部カメラであると認識してくれないのが普通だ。
もっとも、カメラメーカー自らで「Webカメラとして動作するようにする」機能やドライバーを用意してくれているものもあるが、比較的新進のメーカーや新しいモデルにほぼ限られる。本来想定していた使い方ではないからだ(キヤノンはこの春アメリカでベータ版ではあるが「EOS Webcam Utility Beta」をリリースした)。
したがって、それらがメーカー側で用意されていない場合は、CamTwistやCamera Liveといった第三者が作ったユーティリティーソフト(Macの場合)を使うなどして、PCが当該カメラをUSBカメラであると認識させる必要がある。ただその場合は、PC内部でソフトウェアエンコード処理で行うことから、PC本体に負担がかかる上に動画変換に時間がかかり、映像のやりとりで遅延が生じる。会話でもワンテンポ遅れるし、とくに音楽収録では致命的だ。
そこで、そうした映像取り込みを専門的に担うためのハードウェア「キャプチャーボード」をPCとの間に咬ますことになる。ゲームの配信で活躍してきたもので、大凡1万円から2万円程度が相場だ。しかしこれも昨今のテレワーク需要で急遽購入した人が多かったのだろう、5月をピークに比較的新しい主要モデルは売り切れないし高騰で入手困難となった。運良く購入できるとしても、カメラを複数台使用したい場合は、それだけの数のボードが必要になってしまう。
その点、ここで紹介しているATEM Miniならば、3万円台で4つのHDMI入力を持ち、それぞれの入力がこの「キャプチャーボード」と同じ役割を果たす。これだけでもお買い得なのだ。
それに加えて、放送スタジオの卓のように、これらの映像をワンタッチのボタンで切り替えることができる。
たとえば、それまで対面でやっていたパン教室をオンラインでやる場合を考える。
自分の顔、作業している手許、レシピを表示するPC画面、DVDプレーヤーの再生動画といった4つのソースの映像と音声を対等に扱えて、適宜ワンタッチで切り替える。ひとりでやるのも決して無理ではない。また、簡単な映像効果を加えることできる。たとえば、手許で作業する映像を全画面で表示して、レクチャーしている自分の顔をサブ画面に(ピクチャー・イン・ピクチャー表示)といったこともワンプッシュでできる。
映像だけでなく音声も、どの入力の音を使うかもワンタッチ切り替え。メイン画面は手許映像、音声は話している自分のカメラが拾った音声、という具合である。
この4つのHDMI入力以外に専用の音声入力もあるが、ステレオミニプラグ仕様で、コンデンサーマイクなど電源を要するファンタム接続のマイクは使えないなど、いい音のために活用するには少し心許ない。いずれかのカメラにキャノン端子で接続し、その音声を使うのがいいだろう。このあたりはコストやサイズとの関係で割り切っていると思われる。やはり基本的にシンプルな”デジタルスイッチャ”なのだ。
実際使ってみると、辞書よりも軽量かつハンディで、取り出してポン置きし、カメラなどの入力機器からHDMIケーブルを繋ぎ、電源ケーブルを繋げば即POWER ON。動作も安定していてキビキビと動く。ホビーのように軽やかだがさすがはBlackmagic Designという出来だ。
ATEM Miniからのグレードアップモデルが続々
爆発的なヒットとなりいまなお入手困難なATEM Miniだが、続けざまにそのアップグレードモデルATEM MINI Pro(67,980 円、直販価格・税別)が2020年春に突如登場した。
新たに単体でも配信動画を録画できる機能、イーサネットを介して直接YouTubeにライブ配信できる機能、それぞれのカメラ映像を1画面に映せるマルチビュー機能を搭載。とくに、切り替えるまでどんな映像になっているか分からないのはきちんとしたプレゼンテーションをしたいプロユーザーには冒険だっただけに、弱点をていねいに補強したPro版にオリジナルのATEM Miniから乗り換えるユーザーが続出した。
すると今度は、各「入力ソースの」個別録画が可能(つまり5ch分の収録エンジンを搭載)で、現場での配信だけでなく収録後スタジオに戻ってからBlackmagic Design環境で編集しやすくするところまで見据えたATEM Mini Pro ISOが7月31日に新発売された(106,800円、直販価格・税別)。イベントの現場である程度の作業を終えてスタジオに戻れるほどの機能を搭載し、ここまで同じ筐体サイズのまま進化できるのが不思議だ。
気づけば10万円超え。しかし初回入荷分はあっという間にSOLD OUT。もっとも、バリエーションが増えたことで、オリジナルのATEM Miniが入手しやすくなれば、YouTuberでもないし、普段「特機(放送機器)」など使わないが、これからは動画を見るだけでなく共有して楽しみたいと願う一般ユーザーにとって貴重なアイテムとして認知されることを期待したい。(文:fy7d)
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