現在、映画館では新型コロナウィルスの感染の防止策として座席を1席ずつ開けてチケットを販売。座席総数が半分になり、集客しづらい状況にある。そんな中でも夏映画にヒット作が生まれている。
4日間で動員63万0678人!『映画ドラえもん』大ヒットスタートで三つ巴の争い
1位は『今日から俺は!! 劇場版』(48億円)。客層は小学高学年と親のファミリー層や10代20代のグループ客が多い。『銀魂』に代表される個性的なキャラクターが登場する福田雄一ブランドが浸透し、世代を問わず人気を集めた。
大ヒットを後押ししたのが上映回数の多さだ。通常、シネコンでは新作を1スクリーンで1日5回上映する(上映時間が長い作品だと4回)。だが、『今日俺』は多くのシネコンで公開直後から1~2週間は1館で2~3スクリーンを使い、1日10回以上上映。1スクリーンの入場者数の半減をカバーした。『コンフィデンスマンJP プリンセス編』『映画 ドラえもん のび太の新恐竜』も同じく公開直後は1日10回以上の上映となった。
2位は『コンフィデンスマンJP』(32億円)。前作(29・7億円)を上回る大ヒットとなった。5月1日の公開予定から7月23日公開に延期。『今日俺』の翌週公開となったものの、『今日俺』とは客層をすみ分け、大人のデートムービーとして集客した。根強いファンが多く、1人客も多い。
3位は『ドラえもん』(25億円)。例年は3月公開なので土日に動員が集中するが、今年は夏休み公開で平日の動員が良かった。ただし、幼稚園児や小学校低学年に人気なので、隣同士に座れないことに抵抗感のある家族が敬遠しているようで、前作(50・2億円)下回るペースで興収が推移している。
4位は『劇場版 Fate/stay night [Heaven`s Feel] III. Spring song』(12億円)。1作目が15億円、2作目が16・6億円。完結編という話題性や毎週来場者特典があり、リピーター客が多く、前2作に迫っている。
5位は『糸』(8月21日公開)(9億円)。菅田将暉と小松菜奈が主演のラブストーリーなので、一見、若者向けだが、中島みゆきの名曲を題材にしており、中高年層もターゲットに狙った。配給元・東宝による初日アンケートでは、50代が30.6%、40代が23.4%、20代が20.4%、30代が11.5%。鑑賞動機(複数)は「感動できそうだから」が44.7%、「『糸』の曲が好きだから」が32.9%。『今日俺』『コンフィデンスマン』が「笑えて楽しめる」内容で若者を中心に集客する一方、『糸』は「泣ける」内容で40代50代を中心に集客した。
TOP5以外で注目はスタジオジブリ4作品の再上映。『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』を合わせて興収25億円をあげている。全国週末動員ランキングでは公開直後の6月27日から7月11日まで3週連続でトップ3を独占。この時期の興行を支えた。ジブリ作品に足を運んだ観客は新作映画の予告編を見るため、『今日俺』『コンフィデンスマン』の呼び水にもなった。(文:相良智弘/フリーライター)
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