9月2日から12日まで開催中の第77回ヴェネチア国際映画祭は、新型コロナウイルス感染拡大で5月のカンヌ国際映画祭開催も取り止めとなった中、ヴァーチャルではない開催に踏み切り、注目を集めている。
参加者のマスク着用やレッドカーペットを一般公開にしないなど、様々な予防対策を行い、閉幕まであと1日となった今日まで無事に進行している。
例年に比べて海外からの参加者は激減しているが、ヨーロッパ在住者を中心に映画人たちは会場となるヴェネチアのリド島に集結。コンペティション部門の審査員長を務めるケイト・ブランシェットも、レッドカーペットをドレス姿で歩く際もマスクをつけ、写真撮影の時だけ外して、マスクを手にしたままポーズを取った。ちなみに彼女が着ていたドレスは、2015年にロンドン国際映画祭で主演映画『キャロル』が上映された際に着ていたもの。ドレスのリサイクルで、環境保護の姿勢も示してみせた。
上映会場内でのマスク着用は必須で、客席は1席ずつ空けた状態。私語もなく、いつもよりずっと静かだという。通常なら連夜開催されるパーティーもなく、本来主眼である“映画”そのものに集中できる環境だ。
9日(現地時間)には日本からコンペティション部門に出品された黒沢清監督の『スパイの妻』が公式上映され、それに先立ち、現地と東京をつないで監督とキャストの蒼井優、高橋一生が記者会見も行った。太平洋戦争前夜の日本を舞台にしたサスペンス作は「エレガントで夢中にさせる」(Variety)「ここ数年で最高の黒沢作品」(IndieWire)など好評が寄せられている。
今年はコンペティション部門で作品賞にあたる「金獅子賞」を競う18作のうち8本が女性監督によるものというのも話題を呼んでいる。『ザ・ライダー』のクロエ・ジャオ監督がフランシス・マクドーマンドを主演に迎えた『ノマドランド』、ノルウェー出身の女優モナ・ファストヴォルドの監督作でキャサリン・ウォーターストン、ケイシー・アフレックが共演する『The World to Come(原題)』、アンドリュー・ガーフィールドやマヤ・ホークが出演するジア・コッポラ監督の『Mainstream(原題)』、フランスのベテラン女優で監督でもあるニコル・ガルシアの『The Lovers(英題)』などが注目を集めている。
各賞は12日(現地時間)に発表される。
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