9月26日、読売テレビで特別番組『世界一やさしいワイドショー』(以下、『やさしいワイドショー』)が放送された。ダレノガレ明美や亀田史郎などかつて世間を騒がせた芸能人・著名人たちが出演し、自らの経験談にもとづいてスキャンダルや炎上を再考した。
これまでワイドショーと言えば、不倫や違法薬物使用など倫理的に間違った行為に手を染めてしまった芸能人・著名人を、コメンテーターらが徹底批判してきた。さらに近年はインターネットが普及し、当事者のSNSアカウントに多数の一般人が攻撃的なメッセージを送る“炎上”という現象が日常茶飯事になった。
『やさしいワイドショー』は、ダウンタウン・松本人志がメインMCの『ワイドナショー』(フジテレビ系)における“叩かれる側の言い分”をさらに深めた格好。『やさしいワイドショー』のMCをつとめたロンドンブーツ1号2号の田村淳自身は、ツイッターで「偏向しがちなテレビの中でこの角度の意見もあって良いのでは? という実験的な番組です」と見解を述べている。
番組を見た視聴者もSNSで「街頭インタビューのコメントは、普段ワイドショーではなかなか聞けないコメント」「多くの人に見てもらうべき! 再放送希望」「とてもいい番組」と反応するなど、評判は上々だ。
『やさしいワイドショー』の背景には、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴うステイホームが長期化した状況がある。5月には、『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演していた女子プロレスラー・木村花さんが、番組での事件が発端となり、SNSで猛烈なバッシングを受ける。最終的に花さんの自殺につながり、炎上の風潮が疑問視されるようになった。
コロナ前から、世間の風潮に変化の兆しはあった。昨年末のM-1グランプリにて、お笑いコンビ「ぺこぱ」が見せた“相手の言動を否定しないでひたすら肯定する優しいツッコミ”が脚光を浴びる。“他人を否定”するSNS炎上および一部マスコミの炎上誘発記事が再三繰り返され、世間で“炎上疲れ”が表面化しつつあった中、“肯定する優しさ”のニーズが浮き彫りになった。
間違いは間違いとして認めつつ、間違いを犯した人を許容する。令和は優しさがウケる時代になるのか。『やさしいワイドショー』は、それを知る試金石になったと言えそうだ。
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