アメリカで新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、ウォルト・ディズニーは10月8日(現地時間)にピクサー新作『ソウルフル・ワールド』を全米で11月20日から劇場公開をせず、動画配信サービス「ディズニー+」で12月25日に直接配信すると発表した。『ムーラン』と異なり追加料金なしで加入者は視聴することができる。
11月20日公開予定だった『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』は21年4月への公開延期が発表されており、『ソウルフル・ワールド』の延期で、11月のメジャー大作はユニバーサル配給/ドリームワークス製作のアニメ『The Croods: A New Age』(『クルードさんちのはじめての冒険』続編)のみとなった。
メジャー大作の公開延期が相次ぐのは『TENET テネット』の全米興行が振るわなかったからだ。映画館での公開にこだわるクリストファー・ノーラン監督の意向もあってワーナー・ブラザースは公開に踏み切ったが、全米興収は10月11日時点で4830万ドル。前作『ダンケルク』1億8800万ドルの25.7%にとどまっている。日本では興収16.7億円(10月4日時点)をあげ、『ダンケルク』(16.4億円)を上回る大ヒットを記録しているのとは対照的だ。
新作の公開延期が相次いでいることから、米国2位のシネコンチェーン、リーガル・シネマズは運営する536館を10月8日から閉鎖している。
今後の注目点は12月。メジャー配給の話題作が多く、12月11日公開『フリーガイ』(ライアン・レイノルズ主演のアドベンチャー、ウォルト・ディズニー配給)、18日公開『Coming 2 America』(エディ・マーフィ主演『星の王子ニューヨークへ行く』続編、パラマウント配給)、18日公開『ナイル殺人事件』(ウォルト・ディズニー配給)、25日公開『ワンダーウーマン1984』(ワーナー・ブラザース配給)、25日公開『News of the World』(トム・ハンクス主演の西部劇、ユニバーサル配給)が控えている。これらが無事公開されてヒット作が生まれれば、アメリカ映画興行の正常化の兆しが見えてくるだろう。(文:相良智弘/フリーライター)
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