戦争前夜の空気を感じ取る感性──世界的作家の少女時代描く問題作映像が解禁
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のちに世界的絵本作家となるジュディス・カーの豊かな感性
世界的な絵本作家ジュディス・カーの少女時代の体験を元に映画化された『ヒトラーに盗られたうさぎ』が11月27日より公開中だが、このたび本編冒頭映像が解禁となった。
・世界各地でのインテリアにも注目! 世界的絵本作家の子ども時代を映画化
冒頭映像は、謝肉祭(カーニバル)を祝って各国の⺠族衣装や好きなキャラクターなど子どもたちが思い思いの衣装で楽しむ仮装パーティーのシーン。うさぎのぬいぐるみを抱えてひとりで机の下に潜り込むアンナ(リーヴァ・クリマロフスキ)に、それを見つけた兄のマックス(マリヌス・ホーマン)が「なんで隠れてるんだ?」と問う。アンナが「ナチスが来た」と言った直後、ナチスに憧れる子どもたちがその扮装で会場に乗り込んでくる。
戦争前夜の社会の空気を敏感に感じ取っていたアンナ。将来、世界的な絵本作家になるほどの豊かな感性を垣間見ると同時に、これからナチスによって翻弄されていく彼女の人生を予兆させる。
過酷な状況下にある一人ひとりの心の動きが丁寧に描かれる
本作は、少女アンナが、ナチスが政権を握る直前の1933年に、その迫害から逃れるために家族とともに故郷ドイツを出国し、スイス、フランスを経て1936年にイギリスへに渡るまでの移住生活を描いた物語。貧困や差別といった困難も、父(オリヴァー・マスッチ)や母(カーラ・ジュリ)、兄(マリヌス・ホーマン)といった家族や、ユリウスおじさん(ユストゥス・フォン・ドホナーニ)らのサポートを受けながら、終始心豊かで前向きに乗り越えていく姿が清々しい。
監督は『名もなきアフリカの地で』(01年)で第75回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したカロリーヌ・リンク。ナチスの迫害を逃れて移住する一家という共通したテーマを扱いながら、人々を優しく描くその温かい眼差しは本作でも踏襲。過酷な状況下で人は何を優先し、大切な家族のために何ができるかを考え行動しようとする、一人ひとりの心の動きが、分かりやすく丁寧に描かれている。
『ヒトラーに盗られたうさぎ』は全国公開中。(文:fy7d)
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