ノーベル賞授賞式の舞台裏が垣間見れる名作&サスペンス3本
#グレン・クローズ#ジェニファー・コネリー#ノーベル殺人事件#ノーベル賞#ビューティフル・マインド#ラッセル・クロウ#天才作家の妻 -40年目の真実-
医学・生理学、物理学、化学、文学、平和、経済学など六つの分野で優秀な功績を果たした人物に贈られるノーベル賞の授賞式は毎年12月10日。ダイナマイトを発明したスウェーデン人発明家アルフレッド・ノーベルの命日に合わせて執り行われる。受賞者は、世界中の研究者(物理学賞と化学賞は「ノーベル委員会」が選考)から推薦された候補者の中から、専門家で構成される「スウェーデン王立科学アカデミー」の協議によって選出される。世界的にも権威のある賞で、日本でも高い関心を持って報じられる一大イベントだ。
・『天才作家の妻 -40年目の真実-』グレン・クローズ インタビュー
受賞の裏で夫を支えた妻は…。『天才作家の妻 -40年目の真実-』
そんなノーベル賞授賞式の裏側で繰り広げられるドラマが、グレン・クローズ主演の『天才作家の妻 -40年目の真実-』(2017年)だ。ある日、現代文学の巨匠ジョゼフと妻ジョーンのもとに、ノーベル文学賞受賞の吉報が届き、ふたりは息子を伴って授賞式が行われるスウェーデンのストックホルムを訪れる。現地では、夫への称賛の声とともに、妻に対しても「内助の功」を称賛する声がわき起こるが、彼女は浮かない顔をしている。実は彼女は、ゴーストライターとして夫の世界的成功を支えてきたのだ。だが、今回のストックホルム滞在をきっかけに、今まで押さえ込んでいた妻の怒りと不満が沸々と湧き上がる……。劇中では、リハーサル風景なども登場するなど、ノーベル賞授賞式の裏側が垣間見えるのも、興味深い。
天才数学者と妻の夫婦愛『ビューティフル・マインド』
『天才作家の妻~』はノーベル賞授賞式を機に不穏な空気が漂うことになる夫婦の危機を描き出したドラマだったが、2001年度アカデミー賞で作品賞をはじめ4部門を獲得した『ビューティフル・マインド』(2001年)は、統合失調症を患いながらも、ノーベル経済学賞を受賞した天才数学者ジョン・ナッシュをモデルに、彼を献身的に支えた妻アリシアとの夫婦愛を描き出している。メガホンをとったのは『アポロ13』『ダ・ヴィンチ・コード』などで知られるロン・ハワード。主演はラッセル・クロウ。妻アリシアを演じたジェニファー・コネリーはアカデミー賞助演女優賞を獲得している。幾多の困難を乗り越えた後に登場する、クライマックスのノーベル賞授賞式のシーンは非常に感動的だ。
スウェーデン発のクライムサスペンス『ノーベル殺人事件』
そして最後は、『ドラゴン・タトゥーの女』などで知られる「ミレニアム」シリーズのスタッフが、世界的ベストセラー「アニカ・ベングッソン」シリーズを映画化した『ノーベル殺人事件』(2012年)だ。ストックホルムの市庁舎で行われていたノーベル賞記念パーティーで、ノーベル医学賞を決定する委員会の代表キャロライン・ヴォン・ベリングが殺害される。取材のために、現場に居合わせていた新聞記者のアニカは、警察から記事を書かないように圧力をかけられながらも、事件の裏側を調査する……というクライムサスペンスだ。実際のノーベル賞の選考過程に、この映画に描かれているようなドロドロな人間模様があるのかどうかは知るよしもないが、こうした切り込んだ内容の映画が、ノーベル賞のお膝元であるスウェーデンで作られたということがユニークだ。(文:壬生智裕/映画ライター)
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