「これはおとり商法」とノーラン監督
クリストファー・ノーラン監督が、2021年の映画配給プランをめぐって映画会社ワーナー・ブラザースの対応を厳しく非難した
・ワーナー動画配信に映画館から反対の声、コロナ禍で映画業界が大激変?
ワーナー・ブラザースは3日(現地時間)、2021年に公開予定のすべての同社作品を劇場公開と同時に動画ストリーミングサービス「HBO Max」で配信すると発表したが、そこには『DUNE デューン 砂の惑星』『ゴジラVSコング(仮題)』『マトリックス4(原題)』など大ヒットが見込まれる作品も含まれている。
この決定に猛反発しているのが、2002年の『インソムニア』以来、全てワーナー・ブラザースと組んで作品を作ってきたノーラン監督。業界誌「The Hollywood Reporter」に「私たちの業界の最大の映画製作者たち、そして最も重要な映画スターたちの何人かは、最高の映画会社と仕事をしていると思いながら就寝し、目が覚めたら、自分たちが最低の配信サービスと仕事をしていたことに気づいたのです」と声明を寄せた。
ノーランはさらに「ワーナー・ブラザースは、劇場と家庭の双方で映画人たちの作品を見る機会を提供する素晴らしい仕組みを持っていましたが、今まさにそれを解体しようとしています。彼らは自分たちが何を失おうとしているのかも理解していない。彼らの選択は経済的にも意味をなさない。ウォール街で最も間抜けな投資家でさえ、混乱と機能不全の違いは分かっています」
ノーラン監督は、最新作『TENET テネット』のプロモーションで「Entertainment Tonight online」のインタビューに応じ、ワーナー側への不信感を表明した。「特に彼らのやり方です。誰にも言わなかったから。2021年には世界のトップの映画製作者たち、大スターたちが何年もかけて取り組んできた大切な作品がある。それは大画面で体験するものとして公開されるべき作品だ。それが誕生したばかりの配信サービスの客寄せに利用されている」「これはおとり商法です。作品に心血を注いできた映画製作者やスターたちをこんなふうに扱うべきではない。彼らの作品がどうなるのか、相談や説明を受ける資格があるのだから」
『TENETテネット』は新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、大作映画のほとんどが公開を延期する中、9月に劇場公開を決行。累計興行収入は全米で5760万ドル、全世界で3億5900万ドルを記録している。
事前相談なしの決断に抗議、法的措置も辞さず
映画製作者や俳優、エージェントなど関係者は、ワーナー側が事前の相談なしに17本をHBO Maxで配信することを決断したことを侮辱と感じているようだ。ハリウッドのエージェント最大手の「CAA」社長はワーナー・メディアのCEOに「木曜のワーナー・ブラザースの発表は寝耳に水で、CAAと我々のクライアントにとって全く受け入れ難いものでした」と抗議のメールを送ったと報じられている。同社はクライアントであるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督(『DUNEデューン 砂の惑星』)らのために法廷戦略を練り始め、『ゴジラVSコング(仮題)』の製作費75パーセントを出資したレジェンダリー・エンターテインメントも法に訴える準備を始めたという。
この決定の背景にはワーナー・ブラザースを有するワーナー・メディアがアメリカ最大手の電話会社AT&Tの子会社である事実があると見られている。ヴィルヌーヴ監督は「Variety」誌の取材に「AT&Tは映画史上、最も尊敬される重要なスタジオの1つを乗っ取った。映画への愛も、そこにいる観客への愛も全くない」と厳しく批判した。
ワーナー・メディアのジェイソン・キラーCEOは「Variety」誌主催のイベントに参加した際、「予想以上に長く続くパンデミックの渦中で、どうするかを決断する必要がありました」と
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