今さら聞けないホームシアターで重宝する「埋め込みスピーカー」。インテリアとの調和やデメリットも解説
#DALI#KEF#Klipsch#ホームシアター#モニターオーディオ#ライフスタイル#埋め込みスピーカー
新築リフォームのタイミングなら、埋め込みスピーカーを!
すっかり外出しづらくなったこのご時世。心豊かにイエナカ生活するホームエンタテインメントがオススメ!
もしアナタのお家が新築・リフォームのタイミングなら、ダウンライトと同じ気軽な気持ちで「埋め込みスピーカー」を天井に設置して欲しい。
ホームオーディオ用の埋め込みスピーカーは、店舗のBGMスピーカーとはクォリティが違い、注意点やデメリットを理解すれば、これほど活用し甲斐があるものはない。
[埋め込みスピーカーのメリット1]インテリアを阻害しない
埋め込みスピーカーのメリットは、なんといっても箱形のスピーカーを部屋に置く必要がないので、インテリアを邪魔しないことにある。ルンバの行く手を塞ぐこともない。
また、多くはグリル(スピーカーを保護するメッシュのカバー)が塗装可能で、天井の仕上げにマッチするようブラックなどに仕上げることも。外枠のフレームが極端に薄くなっていたり、埋め込んだ天井ともほぼ面一になるといった配慮も行き届く。
[埋め込みスピーカーのメリット2]取り付け自体に特殊技能は不要
設置も簡単。プラスドライバーでぐるぐる回すと天井の裏側からバーが飛び出て天井面から挟んで固定する「ドッグレッグ」と呼ぶ機構を採用するものが多く、取り付け自体に特殊な技能は必要ない。
日本の家屋では、天井にプラスターボードないし石膏ボードを用いることが多いが、可能なら少し補強をして取り付ければいい。
ただ、スピーカーの裏側が解放されているものは、屋根裏側にも室内側と同じぐらい音が放射される。近年みられる高気密/高断熱住宅では断熱材がぎっしり詰まっていることが多いので問題は少ないが、上の階が寝室など家庭内騒音が気になる場合は、背面にボックス(バックチャンバー)を設けるといった配慮が必要となるだろう。
問題は、天井の穴開け。たいていの製品にはテンプレート(型紙)が同梱されており、それを施工面に貼ってそのとおりに切り取る。カタログにある「カットアウト寸法〇〇φ」というのがそれだ。業者さんは数万円の「ホールソー」と呼ばれる丸く穴を開ける工具を持っているが、製品寸法と勘違いしてくれぐれも大きく開けすぎないように!
[埋め込みのメリット3]主役にも脇役にもなる
埋め込み型スピーカーは、ニーズに合わせてさまざまなタイプがある。リビングなどメインのホームシアターシステムに使い、今流行の高さ方向を加えた立体音場(イマーシブサウンド)を実現したり、埋め込みだけを使ってサラウンド構築を試みる場合もある。
(1)イマーシブサウンドの天井スピーカーとして
Dolby Atmos(ドルビーアトモス)やDTS:Xなど、水平方向のサラウンド再生に加え、上下方向を加えた立体音場を実現する最先端のイマーシブサウンドをリアルに再現したい場合は、ドルビーアトモスのスピーカー配置法ページ(https://www.dolby.com/jp/ja/guide/dolby-atmos-speaker-setup/index.html)など推奨の配置を参考に設置する。
ただ、リビングなど部屋が不定型だったり、天井高が極端に高かったり低い場合は必ずしも理論通りの配置がベストとは言えないこともあり、施工実績のあるホームシアター専門店と相談し、フロアに置くスピーカーの特性や位置なども踏まえて緻密に設置するのが望ましい。
(2)すべて天井埋め込み型スピーカーで組むサラウンド
では、「リビングの床にスピーカーを置きたくない」人が、テレビの音が寂しいのでそれを補強するため、予めスピーカーを埋め込んでおこうという場合はどうだろうか。
天井に埋め込むということは、当然ながら音が上から降ってくるということだ。人間の耳は左右についているので、上下方向の音の感覚は鈍いはずだが、実際には「スピーカーがそこにある」という見た目と反射音の記憶が拭えないと言う人もいる。
とくに、最新の「イマーシブサウンド」と呼ばれるオーディオフォーマットは、上下方向の立体音場をつくるのだが、すべてのスピーカーが天井にあるとすれば、物理的に上下の落差を作ることは出来ない。
(3)もっともバランスのいい方法は?
サウンドバーやバーチャルサウンド技術に頼らずに、インテリアとサウンドの調和を図る設置法はないのだろうか?
思うに、テレビを壁掛けしたとしても、レコーダーやアンプ、ゲーム機などを収納するためにテレビボードを置くのが普通だ。インテリアコーディネートとしても、かつての床の間さながらに、写真や小物を置くディスプレイスペースにしているかと思う。
そこで、テレビボードの上に、フロントチャンネル(左右の2本のステレオないしセンタースピーカーを加えた3本)用としてブックシェルフタイプのスピーカーを置き、サラウンドスピーカーやイマーシブチャンネル用の天井スピーカーは埋め込みスピーカーにするのがオススメだ。効果的なサウンドが得られるとともに、インテリアへの影響も出費も最小限で賄えるように思う。
シアター用途ではなくBGMに使うなら? 満遍なく音を届けるための配置
一方で、映画をサラウンドで見るためではなく、iPadなどで視聴するコンテンツをBGM的に聞きたい場合はどうだろう。
そんなときは、映像に向かったときの音とのマッチングというよりも、部屋中に満遍なくいい音を行き渡らせるためのスピーカー配置が重要になる。
ここで参考になるのが、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」。スピーカーメーカーが提供するシミュレーションの結果をひとつの資料にして、特装車両の専門技術集団「八幡電気」がツアー客の集まるボールルームなどに埋め込むスピーカーの数や場所を決めていった。
天井裏には配線や配管がギッシリ詰まっており、必ずしもすべてのスピーカーが理想位置ではないが、ミリ単位におよぶ設計で素晴らしいサウンドが実現している。これは電車だけの話ではなく、一般住宅でも桟や照明、エアコンなどと天井裏の場所取り合戦となるだろうが、こうしたシミュレーションは一つの目安として参考になる。また、音の拡散性能が高く、ひとつのスピーカーでカバーできるエリアが広い製品を選ぶのもコツである。
埋め込みスピーカーのオススメ4ブランド
日本で家庭向けに埋め込み型スピーカーを実際に提供しているオーディオブランドには偏りがある。なぜなら、埋め込み型スピーカーは個人がDIYで設置できなくはないが、どの位置にどんな製品をどう取り付けるかで大きく音が違ってくるため、「カスタムインストーラー」と呼ばれるホームシアターのプロが実際に施工して評価の高い製品がこれまで限られていたからだ。天井に取り付ける以上、地震などで落下してくる危険もあり、できれば音響的に効果的な設置や安全性も含めてホームシアター専門店に取り付けを依頼したいが、自分で選ぶなら下記のオススメブランドについてまず調べてみると良い。
(1)KEF(英国)
ウーファーの中心にトゥイーターを配置した点音源設計で、正確で拡がりのあるナチュラル志向の音を実現。背面解放モデルが多いが、背面のバックチャンバーを取り外しできるモデルもある。
(2)Monitor Audio(英国)
KEFよりも新鋭のスピーカー専門ブランドで、ドームトゥイーターをウリにしてきたこともありやや高域優位のクッキリ志向の音。背面解放タイプと同じぐらい背面カバー付きのタイプをラインナップする。
(3)DALI(デンマーク)
デンマークのDALIは、音楽性優位でおっとりしたタイプのサウンド。比較的リーズナブルに本格的なサウンドを楽しめることでも人気が高い。
(4)Klipsch(米国)
ザ・アメリカンサウンドで押し出しのいい音が特徴のブランド、クリプシュ。米国本国では絶大な人気を誇るTHX準拠モデルを取り揃え、日本での認知も向上しつつある。
まとめ:抜群のコストパフォーマンス。生かさない手はない
スピーカーというのは、他の主だったAV機器と違って、信号線と電源のふたつを必要としない。スピーカーケーブル一本で電気を流し、磁石とコイルの力で動かすシンプルな構造だから、もっと手軽に住宅設備として取り入れていい。
さらに埋め込み型は、海外の著名なメーカーの製品でも1個1万円程度から購入でき、3万円も出せば中上級クラスに手が届く。箱形のブックシェルフスピーカーならエントリーシリーズの価格帯で、もっといいユニットで音が聞ける可能性があるのだ。
新築・リフォームのときに、いますぐ取り付ける予定がなくても天井裏にスピーカーケーブルを通すための配管を仕込んでおいて損はない。これからは、家中の部屋を想定して、宅内LANとともに敷設をぜひ検討してもらいたい。(文:fy7d)
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