ハリウッドが多様性と包摂性を意識した映画製作に取り組み始めたが、社会にはまだ人種差別やそこに端を発する暴力が根強く残っている。
『スター・ウォーズ』公式ツイッターが人種差別撤廃の訴えを支持「私たちのヒーロー」
白人の警察官たちによる捜査の過程でアフリカ系アメリカ人たちが理不尽に命を奪われる事件が後を絶たず、5月25日に起きたミネソタ州ミネアポリス近郊で白人警官らによる不適切な拘束で死亡したジョージ・フロイドさんの動画がインターネットで公開された直後、抗議の声は「ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter/BLM:黒人の命は大切)」運動として大きな流れとなった。
偽札使用容疑で警官に拘束されたフロイドさんは、手錠をかけられた状態で路上に8分間押さえつけられた。頸部(けいぶ)を警官の膝で押さえられ、「息ができない」と訴えたにも関わらず、同じ状態が続き、窒息死に至った。
黒人に対する暴力や人種差別の撤廃を訴える団体「BLM」は2013年に発足しており、これまでも抗議活動を続けてきたが、今回は世界的な規模でデモ行進や抗議活動が行われた。
『アベンジャーズ』シリーズのヴァルキリー役で知られるテッサ・トンプソンや、8月に43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマン、マイケル・B・ジョーダンなどハリウッドのスターたちや映画会社重役たちがBLM創設者らと共同でハリウッドに公開書簡を送った。黒人差別を助長するコンテンツの製作・配給からの撤退などを訴えた書簡には、300人以上のアフリカ系アーティストが署名した。
英国では『スター・ウォーズ』シリーズでフィンを演じたジョン・ボイエガがロンドンでBLMのデモに参加し、「今後のキャリアなんて、知ったことか!」と言いながら、「黒人の命はいつだって大切だった僕たちはいつだって重要な存在だった。僕たちははいつだって意味を持っていた」と涙ながらのエモーショナルなスピーチを行った。
これを受けて、『スター・ウォーズ』シリーズを製作するルーカス・フィルムはすぐに支持を表明したが、同作のマーケティングに対してボイエガはフラストレーションを抱えていたことを後に語った。
ボイエガは9月に「GQ」UK版のインタビューで、出演した『スター・ウォーズ』3部作について「ディズニーに言いたいのは、黒人キャラクターを重要な存在のように大きく売り出しながら、脇に押しやるようなことはしないでほしいということです。それは良くないことです」と語った。
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ドウェイン・ジョンソンは、フロイドさんが地面に押しつけられていたのと同じ8分間の動画をインスタグラムにアップし、「私たちの国は荒廃し、変化を求めて懇願しています。思いやりのあるリーダーはどこにいるのか?」と訴えた。
『グローリー/明日への行進』でマーティン・ルーサー・キング牧師を演じたデイヴィッド・オイェロウォは、同作のエヴァ・デュヴァネイ監督や俳優仲間たちとフロイドさんの最後の言葉「息ができない(I CAN’T BREATHE)」が描かれたTシャツ姿で抗議。
テニスの大坂なおみ選手は、8月にウエスタン・アンド・サザン・オープン開催直前に起きた黒人男性の銃撃事件に抗議して準決勝出場のボイコットを表明。日程そのものが一時休止となり、棄権は回避された。大坂はその後の全米オープンでは犠牲者の名前が入ったマスクを7試合分用意し、試合会場の入退場時につけた。決勝まで勝ち抜き、彼らの存在を全世界にアピールした。
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