Netflixを追撃するディズニー
動画配信サービスは新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要を追い風に会員数を伸ばした。ネットフリックスは世界で1~3月に1577万人、4~6月に1009万人、7~9月に220万人の会員を増やし、9月末の有料会員数は1億9515万人。同社では20年末の有料会員数が2億115万人に達すると予想を公表している。日本では有料会員数が8月末で500万人を超え、1年前の300万人から大幅に増えた。
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19年11月にスタートした「ディズニー+」は、日本を含め20か国以上で配信しており、20年12月2日時点で8680万人。ウォルト・ディズニーは当初、24年までに6000~9000万人の会員獲得を目指すとの長期計画を立てていたが、約1年間で目標を達成したことになる。『スター・ウォーズ』シリーズ初の実写ドラマ『マンダロリアン』がディズニー+のオリジナル作品として人気のほか、当初は劇場公開を予定していたブロードウェイミュージカルの映像化『ハミルトン』や、ビヨンセのビジュアルアルバム『ブラック・イズ・キング』など話題作を提供。また『ムーラン』を劇場公開せずに直接配信した(追加料金制)。
ディズニーが所有する他の動画配信サービス「Hulu」は3880万人、ESPNプラスは1150万人の会員を獲得しており、3つ合わせると1億3710万人。ネットフリックスを追撃する。
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ワーナーメディアが5月27日にスタートした「HBO Max」の会員数は9月末時点で2870万人。グループ企業には映画会社ワーナー・ブラザース、有料テレビ局HBO、アニメ専門局カートゥーン・ネットワークなどがあり、これらの企業のコンテンツをHBO Maxで配信する。グループ企業以外では、スタジオジブリのアニメ映画(米国での配信権を獲得。米国、日本を除く海外での配信権はネットフリックスが獲得)やアニメ『サウスパーク』、往年の人気ドラマ『フレンズ』などを配信。同社ではテコ入れ策として、劇場公開の予定だった『魔女がいっぱい』を直接配信(日本では劇場公開)。また『ワンダーウーマン1984』を12月25日に劇場公開と同時に配信したり、21年の公開予定作17本を劇場公開と同時に配信すると発表している。
一方、動画配信サービスの中には撤退するところも現れている。ドリームワークスの創設者の1人であるジェフリー・カッツェンバーグと、米ヒューレットパッカードでCEOを務めたメグ・ホイットマンが2人で立ち上げた「Quibi」(クィビィ)だ。、4月にサービスを始めたが、10月下旬に廃業を発表した。2人の知名度と人脈で約18億ドル(約1900億円)を調達。スマートフォン向けに1話あたり10分以下の作品を配信し、通勤・通学の電車やバスの待ち時間に見てもらうことを想定していた。だが、コロナの感染拡大による外出制限でユーザーは外出せず、隙間時間に見るというコンセプトが受け入れられなかったようだ。ネットフリックスやディズニー+は室内で過ごすことで長時間視聴につながったが、短時間視聴のクィビィには逆風になったようだ。(文:相良智弘/フリーライター)
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