コロナ前はイベントで話題を煽って集客
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月から新作の公開延期が相次ぎ、4~5月は映画館が休業。6月から再開されたが、入場者数が半分に制限され、興行は打撃を受けた。コロナ禍に見舞われる前後でヒット作の傾向が変わった。
コロナ禍前の大ヒット作は2位『アナと雪の女王2』(133億円)、3位『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(73億円)、5位『パラサイト 半地下の家族』(47億円)と洋画が中心だ。『アナ雪2』『スター・ウォーズ』は日米同時公開でイベント性を高めて集客した。
『パラサイト』は、日本で公開された韓国映画で最高興収新記録を樹立した。史上初めて外国映画としてアカデミー賞作品賞を獲得したことでメディアの露出が爆発的に増加し大ヒットにつながった。その一方、アカデミー賞受賞前から韓国映画ファンではない高校生や大学生の若者層がSNSで盛り上がっていた。二転三転するネタバレ厳禁のストーリーで、「見ないと共有できない面白さ」がSNSで逆に広がり大ヒットした『カメラを止めるな!』をほうふつとさせる。
ファミリー向けアニメが伸び悩んだ理由は…
コロナ禍後の大ヒット作は邦画が中心。洋画大作が軒並み公開延期となったからだ。
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1位『劇場版『鬼滅の刃』無限列車編』は最終興収350億円以上が見込まれ、『千と千尋の神隠し』を超えて歴代興収1位の新記録を樹立した。テレビアニメは19年4月~9月までTOKYO MXなどで深夜に放送。その後、動画配信サービスで配信され、コロナ禍に伴う巣ごもり視聴でファン層を拡大した。原作マンガは16年2月から「週刊少年ジャンプ」に連載され、今年5月に連載を終了。コミックスは10月2日発売の22巻で累計発行部数が1億部を突破。絶好のタイミングでの映画公開となった。公開に合わせて、フジテレビ系の「土曜プレミアム」で10月10、17日の2週連続でテレビアニメの特別編集版を放送。10日の視聴率は16.7%、17日は15.4%と高い数字を記録。話題性の喚起につながった。
興収が伸び悩んだのが7位『映画 ドラえもん のび太の新恐竜』で、興収33億円は前作(50.2億円)の約7割。ファミリー向けアニメ映画の興行は苦戦が目立ち、『映画 クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』は12億円で前作(20.8億円)の約6割。ピクサーの『2分の1の魔法』は7億円で、ピクサー作品としては12年『メリダとおそろしの森』以来となる10億円未満の興行成績だ。公開された8~9月は映画館で入場制限を行っており、1席ずつ座席を開けているため隣同士に座れないことに抵抗感のある家族や、感染を恐れて映画館に来ない家族客がいて影響したようだ。
健闘が光るのが邦画ホラー。9位『事故物件』は殺人や自殺などが起きた事故物件に住み実体験をつづった芸人・松原タニシの本を映画化、興収14億円のヒットを記録した『犬鳴村』は福岡県に実在する心霊スポットを舞台に描く。近年、このジャンルで10億円を超えたのは16年『貞子vs伽椰子』(10億円)以来。貞子のようなキャラクターではなく、場所をテーマにした新機軸を打ち出して若者層を集客した。(文:相良智弘/フリーライター)
[2020年の公開作ランキング]
1位『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』350億円以上
2位『アナと雪の女王2』133億円
3位『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』73億円
4位『今日から俺は!! 劇場版』54億円
5位『パラサイト 半地下の家族』47億
6位『コンフィデンスマンJP プリンセス編』38億円
7位『映画 ドラえもん のび太の新恐竜』34億円
8位『TENET テネット』27億円
9位『事故物件 恐い間取り』23億
10位『糸』22億円
(ムビコレ調べ。18年11月から19年11月13日までに公開された作品が対象)
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