『ミクロの決死圏』(66年)や『絞殺魔』(68年)の鬼才リチャード・フライシャー監督が手がけた映画『マンディンゴ』(75年)が、約46年ぶりに全国公開される。あわせて予告編および映画評論家・山田宏一のコメントが到着した。
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米国映画史から抹消されかけた黒歴史の名作 3月12日より全国公開!
本作は、カイル・オンストットの同名ベストセラー小説を原作とするヒューマニズム映画。19世紀半ばのルイジアナ州を舞台に、奴隷牧場を経営する父子の栄光と没落を描く。
リチャード・フライシャー監督に加え、製作は 『道』(54年)や『キングコング』(76年)で知られるイタリア人の大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティス。音楽は『アラビアのロレンス』(62年)のモーリス・ジャールという盤石の布陣で映画化され、公開されるや否や世界中で ヒットを記録した。
しかし、今では考えられない人種差別的な設定、偏見を助長する屈辱的な内容、吐き気を催すようなおぞましい描写などから「最悪の映画」と酷評されてしまう。
その後、クェンティン・タランティーノ監督が本作にインスピレーションを受けた『ジャンゴ 繋がれざる者』(12年)を手がけるなどして一部で話題になるものの、長らくアメリカ映画史からほぼ抹消された形になっていた。
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山田氏は、『マンディンゴ』を「呪われた『黒歴史』の名作」と評し、「愛と憎しみが交錯するサスペンスにみちた力強くすさまじい、怒りのヒューマニズム映画だ」と檄文を発している。
『マンディンゴ』は3月12日より全国順次公開。
【山田宏一コメント全文】
リチャード・フライシャー。
どんな映画も柔軟に見事に面白く撮ってみせる、ハリウッドではプロフェッショナルとよばれた職人監督の1人だ。
SFスペクタクル映画(『海底二万 哩マイル』『ミクロの決死圏』『ソイレント・グリーン』、ウォルト・ディズニー製作の『海底二万哩』と同じように子ども向け、家族向けのファンタジー『ドリトル先生不思議な旅』などもふくめて)を撮ってよし、西部劇(『叛逆者の群れ』)を撮ってよし、 犯罪映画フィルム・ノワール(『恐怖の土曜日』『絞殺魔』)を撮ってよし、古代史劇(『バラバ』)を撮ってよし、海賊映画(『ヴァイキング』)を撮ってよし。
そして、アメリカ南部の黒人奴隷農場を描いた『マンディンゴ』 ーー『風と共に去りぬ』の闇の裏面史を描いてアメリカ中を震撼させ、大ヒットしたものの、アメリカの恥さらしとみなされてマスコミに黙殺され、映画史から消されつつあったところを、「アメリカを知る」映画評論家・町山智浩氏によれば「これは すげえ…映画だ!」とクエンティン・タランティーノ監督の一声ひとこえが刺激になって、じわじわと再評価の気運が高まったという呪われた「黒歴史」の名作。
こんなことがあっていいのか。
愛と憎しみが交錯するサスペンスにみちた力強くすさまじい、怒りのヒューマニズム映画だ。
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