『窮鼠はチーズの夢を見る』Blu-ray&DVD発売!(後編)
(前編より続く…)Blu-ray&DVDが3月3日に発売された、ジャニーズの大倉忠義と成田凌の共演でBL系コミックを映画化した『窮鼠』こと『窮鼠はチーズの夢を見る』。原作は『失恋ショコラティエ』などで人気の漫画家・水城せとなによる同名コミックとその続編の『俎上の鯉は二度跳ねる』だ。
この映画化が発表されたあと、実は原作コミックスのエロシーンの修正が変わることとなった。しかも、なんと電子書籍も今まで購入していた人の分もすべてが事前予告なく変更されたのだ。筆者は電子書籍で『窮鼠』を購入していたので、一夜にして読んでいたコミックスの内容が知らないうちに変更されたことに非常にショックを覚えた。
原作コミックスの修正は今の社会のコンプライアンスなどを考慮した結果
動揺したのは筆者だけでなくネットでもざわついて憶測が飛び交う事態に。それを受けてか、原作者の水城せとな自身がブログの2020年1月29日付けで、コミックスの内容が時代に合わなくなってきたと常々感じていたが、映画化を機に出版社の方でコンプライアンス的に修正が必要だと感じたためなされた措置だった、というような内容を記述している。また、修正後の単行本についてはタイトルそのままではなく『リブートエディション』と付け加えられ、描き下ろし前後編込みで改めて発売されている。
修正とは、一コマのサイズが以前より拡大されて局部が見切れて見えないようになり、一部の言葉も変わった点などだ。こだわりのない人にとっては気づきもしないような小さな変更なのだが、筆者は修正前の原作を初めて読んだ時にインパクトを感じ、それまで大切に思ってきた。それと、電子書籍はユーザーに事前告知もなくこんなことができてしまうのだという事実に驚愕した。
意地になった筆者はすぐに紙書籍を買い直した、まだ修正前のバージョンが出回っているうちに。今からでも欲しい方は頑張って自力でゲットを。ただし、転売には手を出さないでね! ちなみのちなみに『俎上』はもとから見せない描き方のためエロシーンの変更箇所はないように思えた。
受けと攻めが逆になるリバもしっかり描かれている実写映画
さてさて、そんな修正も注目されるほどエロシーンがある『窮鼠』。実写映画化では恭一役を大倉が、今ヶ瀬役を成田が演じ、エロシーンも割愛することなどなく潔く描いている。原作では『俎上』である映画版の後半の方では、受けと攻めが逆になるリバもあるのだが、これもリバとわかるように赤裸々に描写されていた。これまで今ヶ瀬との関係において流されてきた恭一が積極的な姿勢を示す重要な部分なので、リバとわかるように描いたことは評価したい。
エロだけじゃない、恋愛の真理を描いた究極のラブストーリー
もちろん、エロだけでなく、『窮鼠』は恋愛をまっすぐ正面から描いた物語。筆者は原作を初読みしたときは吐くかと思うほど号泣してしまった。俗に言う「たかが恋愛、されど恋愛」とはよく言ったもので、取るに足らないたかが恋愛の話であり、人によっては生き死にを左右するほどクソデカ感情のされど恋愛の話が描かれている。『窮鼠』は恋愛の真理を描いた究極のラブストーリーと言えるだろう。
筆者にとって『窮鼠』は原作と実写映画版は別もので、実写映画版を見て号泣することはなかったが、本気の恋愛をしてこなかった男の本気と、すねる姿がキュンとさせるツンデレが描かれていて切なくかわいいラブストーリーに仕上がっていると思う。大倉忠義と成田凌というビッグネーム共演によって、体当たりで恋愛を体現したBL系コミックの実写化としても見る価値は十分にあるだろう。公開時は見そびれた方、映画館で見るのはちょっと恥ずかしかった方などはぜひ自宅で楽しんでみては?
BD&DVDの通常版と同時発売の豪華特典版は写真をふんだんに盛り込んだブックレットと、フォトカード3枚を封入。イベント映像やメイキング、キャスト・監督インタビュー、未公開シーンも収録した特典映像もついている。ファンには嬉しい充実した内容だ。
また、どっぷりハマってしまって少しでも『窮鼠』を摂取したいと言う方は、11年ぶりに発表されたコミックの新作番外編『ハミングバード・ラプソディ』がコミックスの『窮鼠はチーズの夢を見る オールインワンエディション』に収録されているのでそちらもどうぞ。今ヶ瀬の中学時代の思い出と本編後の恭一との穏やかな日常を垣間見ることができる。(文:牧島史佳/ライター)
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