【鯉八の映画でもみるか。】上質な映画を見た後にミルクレープを食べる「すばらしき世界」、やっぱり映画館に行くのはいいね。
【落語家・瀧川鯉八の映画でもみるか。/第20回】
3月26日からロードショーの池田暁監督の最新作『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』へ
僭越ながらコメントを寄稿させていただいた。
「落語で例えるなら、
四代目春風亭柳好師匠の【道具屋】
背筋が凍るほどの才能
得体の知れない面白さ」
なんと素晴らしいコメントだろうと我ながら思う。
落語家だから落語に絡めるのがいい。
求められたものを提供できたという自負がある。
心から面白い映画だったから嘘ではない。
これをきっかけに四代目柳好師匠の道具屋をぜひ聴いてもらいたい。
その面白さにたまげると思う。
そしてこの映画を見たあとに、ああ鯉八はなるほどぴったりの例えをしたもんだと膝を打つだろう。
どちらも摩訶不思議な笑いがある。
オフビートな笑いでアキ・カウリスマキのようだというコメントもあったが、まさにそうで、愉快な雰囲気や声の大きさで押せない分、相当なテクニックが必要とされる笑いだ。
引いてばかりではお客も退屈で寝てしまう可能性があるので、この手法はこわくてなかなか手を出せない。
あの異様な世界は、使い方を間違えるとどっちらけてしらけてしまう諸刃の剣だから。
池田暁監督は台詞のリズム、絶妙な言葉の数、役者さんの立ち位置の角度まで緻密に作り上げている。
役者さんの姿勢がいいんだよなあ。
実はあんまり姿勢の良い人って少ない。
昔の日本映画はみんな姿勢よかった。
改めて見直すべきことだと思う。
姿勢が良いって気持ち良い。
ぼくも映画に出してください。
西川美和監督の『すばらしき世界』も見た。
そりゃもうすばらしかった。
長澤まさみさんの演技がとっても印象に残っている。
テレビの世界に生きる人間の醜さと覚悟とある種の美しさを見事に演じているなあと。
あんな綺麗な人にあんなに罵倒されたら泣いちゃう。
ぼくも映画に出してください。
帰りにドトールのミルクレープを食べた。
この世の中にあるケーキのなかで、ドトールのミルクレープは世界一です。
どんなにセレブ御用達の高級なケーキも太刀打ちできません。
あの味編み出した人のことを天才というのだろう。
背筋が凍るほどの旨さ。
得体の知れた美味しさ。
ドトールのミルクレープはネット注文限定だがホールで買うことができる。
ぼくにはまだホール買いは分不相応だ。
そんな日がくるのを夢見ている。
上質な映画を見たあとにミルクレープを食べることができるなんて、こんなにすばらしい世界はない。
ぼくにミルクレープを買ってください。
※【鯉八の映画でもみるか。】は毎月15日に連載中(朝7時更新)。
<編集部より>前回のコラム(2月15日掲載)は、鯉八さんが出演したドラマの撮影についてのお話でタイトルは明かされていませんでしたが、すでに放送中です。
TOKYO MXのドラマ『青いヴァンパイアの悩み』(毎週月曜22:00~22:30)の5・6話に、サラリーマン・八角二郎役でゲスト出演。5話は3月8日、6話は3月15日放送。見逃し配信などの詳細はドラマ公式サイトをご確認ください。(https://s.mxtv.jp/drama/mx9_vampire/)
プロフィール/瀧川鯉八(たきがわ・こいはち)
落語家。2006年瀧川鯉昇に入門。2010年8月二ツ目昇進、2020年5月真打昇進。落語芸術協会若手ユニット「成金」、創作話芸ユニット「ソーゾーシー」所属。2011年・15年NHK新人落語大賞ファイナリスト。第1回・第3回・第4回渋谷らくご大賞。映画監督アキ・カウリスマキが好きで、フィンランドでロケ地巡りをした経験も。
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