呪いと誘惑の世界に堕ちていく女性…愛する男に裏切られた末の宿命とは?

#クリスティアン・ペッツォルト#ドイツ#水を抱く女

『水を抱く女』
『水を抱く女』

精霊と人間との悲恋を描く

水の精霊・ウンディーネ神話を現代に置き換え、悲しい宿命を背負った女性と、彼女に惹かれる男の運命を描いた映画『水を抱く女』が今週末に公開。本作を手がけたクリスティアン・ペッツォルト監督のインタビューをムビコレで掲載中だ。

愛がどのように発展していき、心に残っていくのかを描きたかった

ドイツ・ベルリンで都市開発を研究する歴史家ウンディーネは、博物館でガイドとして働く。ある日恋人に別れを切り出された彼女は、潜水作業員として働くクリストフと不思議な出会いを果たした。運命に導かれるように惹かれ合う2人だったが、次第にクリストフはウンディーネが何かから逃れようとしているような違和感を覚え始める。

ウンディーネ役のパウラ・ベーアとクリストフ役のフランツ・ロゴフスキは、ペッツォルト監督の前作『未来を乗り換えた男』(18年)で共演しており、監督は『未来を~』の撮影中にすでに本作の企画のことを2人に話していたのだとか。

原題の「Undine」とは“水の精 ウンディーネ”(英語名:オンディーヌ)のことで、古くはヨーロッパに伝わる神話に登場する。主に女性の精霊として描かれ、人間の男性との結婚によってのみ不滅の魂を得ることができるが、「愛する男に裏切られた時、その男の命を奪って水に還らねばならない」という宿命を背負う、というのが代表的なストーリーライン。

精霊と人間との悲恋の物語は、これまでも小説やオペラなど数々の芸術家をインスパイアしてきた。子供の頃からこの物語を知っていたというペッツォルト監督は、ウンディーネが背負う宿命をこう説明する。「ウンディーネは人間になりたいお伽話の登場人物であるといえるかもしれません。彼女は人間であり続けたいと願っています。しかし呪いと誘惑の世界、神話的な世界は、彼女を手放すことはありません。彼女に固執し、残忍で、彼女を引きずり落とそうとするのです」

水の精霊の神話をベースとした本作には、水槽やプールなど様々な「水」の描写が登場。特に湖に潜っていく水中シーンの撮影には、かなりの準備が必要だったこともインタビューで語っている。

『水を抱く女』クリスティアン・ペッツォルト監督インタビュー全文はこちら