脚本家が実の父と弟をモデルに執筆
突如あてのない逃避行に繰り出した、父と息子の絆を描く感動作『旅立つ息子へ』が先週末より公開。ムビコレでは監督ニル・ベルグマンのインタビューを掲載中だ。
愛息子との逃避行の末に、父が下した決断──父子の絆を描く感動作
アハロンは自閉症スペクトラムを持つ息子・ウリのために仕事を辞め、大切に育ててきた。しかし別居中の妻は成人になるウリの将来を心配し、施設に入所させることを決める。定収入のないアハロンは裁判所から養育者として認められず、妻の方針に従うほかなかった。入所当日、施設へと向かう途中でパニックを起こすウリを見たアハロンは、2人であてのない逃避行に出ることを決意する。
本作の監督を務めたのは、東京国際映画祭で唯一、2度のグランプリ受賞歴を持つニル・ベルグマン。自閉症の弟を持つ脚本家のダナ・イディシスと、2人で脚本を書き始めた。本作にリアリティをもたらしている理由の1つ目は、イディシスの弟と父親、実在の親子をモデルとしていること。そして2つ目はウリを演じた俳優ノアム・インベルの存在だ。
「ウリ役には無名の俳優を、と決めていました。ノアムは、一次オーディションから光っていて、素晴らしい演技力に感動しました。あとで彼の父が、自閉症スペクトラムを抱える若者の施設のマネージャーで、ノアム自身が施設の友達に囲まれた環境で育ったことを知りました。彼のバックグラウンドがウリを演じることに大いに役立っていると思います」
またイスラエルでのロケハン中に、偶然にも、シングルマザーと自閉症を持った男の子がランチをしているシーンに遭遇。「まさに自分たちが描こうとしている物語が目の前に起きた」と、親子に映画への協力を依頼した時のエピソードを語っている。脚本家・俳優・監督それぞれの経験や、彼らの身近にいた人々の人生の一部が掛け合わさって、ウリという人物が生まれたと言えるだろう。
『旅立つ息子へ』ニル・ベルグマン監督インタビュー全文はこちら。
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