ポランスキー監督拘束について仏文化相が米司法制度に懸念
『戦場のピアニスト』(02)でアカデミー賞を受賞したロマン・ポランスキー監督が、先月26日、アメリカで起こした32年前のわいせつ罪でスイス当局に拘束され、現在もなお拘留が続いている。ポランスキーはポーランドとフランスの2つの国籍を持っているが、フランスのフレデリック・ミッテラン文化相は1日、32年前の事件について、ポランスキーが米国の司法制度で公正な審理を受けられるかどうかという懸念を示した。
ポランスキーは、77年に、監督作『チャイナタウン』(74)に主演したジャック・ニコルソンのハリウッドの邸宅で、当時13歳の少女に薬物とアルコールを飲ませて淫行した容疑で逮捕された。翌78年に訴追されたが、判決前に出国したままフランスに拠点を置いた。以後、再入国すれば逮捕されるため、アカデミー監督賞を受賞した際も訪米はしなかったが、スイスのチューリヒ映画祭で功労賞の受賞が決まり、先月27日の授与式に出席するためチューリヒ空港に降り立ったところで身柄を拘束された。
この措置をめぐっては、ウディ・アレン、デヴィッド・リンチ、ウォン・カーウァイといった世界中の映画監督や、モニカ・ベルッチなど女優たちがポランスキーの即時釈放を求める署名運動を行っている。
ミッテラン文化相は、ポランスキーの裁判に不正行為があったという証言を含んだ08年製作のドキュメンタリー作品に言及し、過去の法的手続きに疑問点があることを指摘した。しかし「芸術家の擁護は文化相の役目」と言いつつも、ポランスキーの犯した罪は大きいと認めている。また、ポランスキー自身も和解金として被害者に50万ドルを支払うことに合意したという。
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