ヴィヴィッドな美術や衣装に注目! 時が止まった孤独な世界で狂気に耽る復讐女の心情
話題沸騰の復讐劇! その衣装や美術の狙いにも注目
女の復讐劇を描き、アカデミー賞脚本賞受賞、主要5部門のノミネートを果たした話題沸騰の映画『プロミシング・ ヤング・ウーマン』が、7月16日に公開される。ムビコレでもYouTubeコメント欄が炎上したこの作品の魅力について、今回は衣装や美術にフォーカスし、お伝えする。
・“将来を嘱望された若い女性”の悲しい過去…地獄の悪夢へ導く皮肉に満ちたリベンジスリラー
本作品は、いわゆる“将来を嘱望された若い女性”だったにもかかわらず、辛い過去によって医大を中退した経歴を持つキャシー(キャリー・マリガン)が、夜な夜なバーで酔ったふりをして“お持ち帰り”しようとする男を毒牙にかける復讐劇だ。
テーマ自体は重いが、本作品ではあえて色彩豊かでポップなビジュアルを採用している。
派手な衣装=強がるキャシーの歪んだ精神状態
エメラルド・フェネル監督は、「“女の子が好きなもの”を再利用して恐ろしいものを作りたかった」と話し、キャシーのファッションや、彼女が働くカフェ、ロマンスシーンなど多くの場面において、あえて鮮やかな色彩を採用した。
また、「女性はうまくいっていないときほど自分を綺麗に着飾るの」と、昼間のキャシーにはリボンやギンガムチェックの服を着せることで、無理をして“私は元気”とアピールしようとする歪んだ精神状態を表現した。
80年代で時が停止…心情を表すインテリア
ポップな彩り以外にも、キャシーの心情を表現するビジュアルにも注目してほしい。
キャシーの両親が暮らす家は、ゴージャスな家具を用いて80年代を感じさせる幻想的な空間。しかし家具たちはどこか色あせ、長年手入れされていないような状態となっている。これは、ある事件から時が止まり、現実の世界に直面しないキャシーの生活=心と結びついているように感じられる。
一方、夜な夜な出歩くキャシーには、特定の男性に魅力的に見られるための武装ともいえる様々なスタイルがデザインされた。ある晩は華やかなヒップスター、ある晩は仕事帰りの女、そしてボディコンシャスのドレスに身を包む。
ナンシー・スタイナーの衣裳
衣裳を担当したナンシー・スタイナーは、ソフィア・コッポラ監督『ヴァージン・スーサイズ』(99年)、『ロスト・イン・トランスレーション』(03年)、ヨルゴス・ランティモス監督 『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』 (17年)など、個性派映画監督とのコラボレーションで知られる。
そんな彼女が描くデッサン画は、コスチュームだけでなく、背景にも色彩を取り入れ、映画の世界観そのものを描く。
たとえば、カフェでのスケッチ画では、キャシーはパステルカラーを使ったトップスを着て構えるところがなく、カフェという空間に自然になじんでいる。
一方、ナースのコスプレをしたスケッチ画を見ると、木目を背景に派手な髪色でポーズを決め、勝負服を決めている印象だ。
医大を退いていながら、なぜこのユニフォームを着なければいけなかったのか? 興味をそそるビジュアルだ。
『プロミシング・ ヤング・ウーマン』は、7月16日に公開される。
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