強権政治家たちを非難「彼らにはモラルも良心の呵責もない」カンヌ国際映画祭でスパイク・リー監督語る
#アダム・ドライヴァー#カンヌ#カンヌ国際映画祭#マギー・ギレンホール#マティ・ディオップ#マリオン・コティヤール#メラニー・ロラン#レオス・カラックス
マスク姿はまばら、スターがサインに応じる場面も
第74回カンヌ国際映画祭が6日(現地時間)、2年ぶりに開幕した。毎年5月に開催される映画祭は、昨年はコロナ禍のために中止となり、今年も通常より2ヵ月ずらした7月開催となった。
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ヨーロッパではワクチン接種が進んだとはいえ、世界各地から映画人が集う映画祭では厳重な感染予防対策が講じられることとなった。だが、オープニング・セレモニーのレッド・カーペットは例年とほとんど変わらない賑わい。カメラマンたちはマスク着用だが、距離など取れるわけもない密状態。カーペット脇の一般人ギャラリーに呼び止められたスターたちがサインやセルフィーに応じる場面もあった。
オープニング上映作でレオス・カラックス監督の『ANNETTE(原題)』に出演するマリオン・コティヤールは、上映会場内ではマスク着用というルールを守ろうと一瞬マスクを着けかけたが、作品関係者という立場を優先してか、監督や共演のアダム・ドライヴァーと同様にマスクを外して入場していた。
実際、客席の人々にもマスク姿はまばら。映画祭参加者にはワクチン接種か、未接種の場合は48時間ごとのPCR検査と陰性証明が必須であり、その条件をクリアしたから、ということなのだろうか。
感染症対策と合わせて、今年は環境問題も意識し、レッド・カーペットをリサイクル素材で作成、量も50%削減したという。ペットボトル飲料の使用禁止や電気自動車の導入なども行われた。
ジェンダーギャップについては、コンペティション部門の審査員で、女性監督のマティ・ディオップ、メラニー・ロラン、マギー・ギレンホールら女性が過半数を占め、ソン・ガンホ、タハール・ラヒムらも名を連ねる。
審査員長を務めるスパイク・リーは、オープニング・セレモニー前に行われた記者会見で「世界はギャングたちに牛耳られている」と語った。
ジョージアの記者が自国で起きているロシア弾圧にふれながら質問したところ、リーは「この世界は、エージェント・オレンジ(前米国大統領のドナルド・トランプ)、ブラジルの男(ブラジル大統領のジャイール・ボルソナーロ)、そして(ロシアの大統領であるウラジミール・)プーチンというギャングたちに牛耳られている」と答えた。エージェント・オレンジとは枯葉剤のことで、1960〜70年代のベトナム戦争で米軍が使用し、その結果、健康被害が広がった。
リーはさらに「彼らはギャングであり、やりたいことをやる。彼らにはモラルも良心の呵責もない。我々はそのようなギャングに対して声を上げなければならない」と続けた。
パンデミック前、2019年に開催された第72回で最高賞のパルムドールを受賞した『パラサイト 半地下の家族』に主演し、今回は審査員として参加したソン・ガンホは「審査員を依頼するメールを受けとった時、『本当に映画祭が開催されるのか?』と半信半疑でした。今日、私たちがここにいるということは、本当に奇跡だと思います」と語った。
7日(現地時間)には、「ある視点」部門のオープニング作品として、日仏合作の『ONODA(原題)』が上映された。太平洋戦争の終戦後、フィリピンのルバング島で30年近く過ごした小野田寛郎旧陸軍少尉の実話をもとに、フランスのアルチュール・アラリ監督が遠藤雄弥と津田寛治を主演に迎えて映画したもので、上映後は15分に及ぶスタンディング・オベーションを受けた。
日本映画では、コンペティション部門で濱口竜介監督、西島秀俊主演の『ドライブ・マイ・カー』、オフィシャル・セレクション「カンヌ・プルミエール」で細田守監督の『竜とそばかすの姫』が上映される。
映画祭は17日(現地時間)まで開催され、最終日に各賞の発表が行われる。
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