『太陽の子』を普遍的な映画にしたい…情熱伝わるフューチャーレット映像公開
柳楽優弥、有村架純、三浦春馬が共演し、日本の原爆研究を背景に描く青春群像劇『映画 太陽の子』が8月6日に全国公開される。このたび、日本オリジナルのフューチャレット映像が公開された。
映像は、三浦が柳楽、有村と縁側で一升瓶を囲いながら、「いっぱい未来の話しよう!」と前向きに皆を鼓舞する場面からスタートする。
続いて、メイキング映像とともに本作品で音楽を担当したニコ・ミューリーが登場し、「エキサイティングなのは、1940年代が舞台であっても、作り方や見え方、全員の繋がり方が驚くほど現代的で、歴史映画のように感じさせないところ」と本作品の魅力を語る。
サウンドデザインを担当したマット・ヴォウレスは、「脚本にワクワクし、とてもいいアイデアだと思った」と本作品の題材に興味を持ったことを明かし、素材となる音響録音の水準が高かったことも評価した。
映像の色味を調整するカラリストのアロン・ピークは、「この映画をアメリカ人に勧めたいね。防御や告発の視点ではない、とても清潔で無垢な視点だ」と、本作品の魅力がストーリー性にこそあるのだということを指摘する。
監督の黒崎博は、これだけのスタッフに依頼した理由について、「日本人だけで作るのではなくて、もっとほかの国の人たちともたくさんこの映画を共有したいと思って」のことだと明かす。黒崎がロサンゼルス、ニューヨークなどへ持ち込み、多様な視点にさらし意見をもらうことでグローバル作品としての完成度を高めていったことがうかがえる。
そして、普段は壮大なアクション映画で爆発音など手がけることの多いマットは、本作品はそれらとは大きく異なり、「すべてが小さなディチールの積み重ねだ」と、本作品では、いわゆる戦争映画とは異なるサウンドが求められたと説明。
アロンは、カラリングの基準として「できるだけ自然で正確な感覚を心がけた」と言う。実際映像でも、緑の山々や青い川が自然に映し出されている。
ニコはキーボードを演奏しながら、本作品は「完全に感情主体で、政治主体でも国粋主義的でもない。その代わり、3人の物語に触れるリアルな感覚がある」とインスピレーションの源を明かし、ヴィオラ、パーカッショニストとの3人だけに絞り込むことで、「観客に聞こえるべきことを集中して伝えられた」と満足した様子で語った。
また映像では、「どう思いますか?」と問いかける黒崎に対し、「音の印象としては、少しドイツなまりがあった方がいいと思う」など、穏やかな口調とは裏腹に一切の妥協のないアフレコを行ったピーター・ストーメアも登場。
ピーターは、日本では『アルマゲドン』、『ジョン・ウィック:チャプター2』などで知られる名バイプレイヤーで、本作品ではアルベルト・アインシュタインの“声“役で出演している。当初はスケジュールに空きがないとされていたが、突然「明日、トロントに来てくれるなら」と提案された黒崎は、急遽トロント行きを決行。「何度も『もう1回、もう1回』とリテイクするので、だんだん『どうなってるんだ』という空気になりました。でも繰り返していくうちに彼らも火がついて、逆にアイデアを出してくれたり、良いテイクがどんどん出てきました」と黒崎も苦笑する(https://youtu.be/ZS4K6MCGhSM)。
激動の時代を乗り越えていく若者3人の青春群像劇
ノーベル賞学者の湯川秀樹も参加し、原爆研究を行っていた“F研究”。本作品は、旧海軍の委託を受け京都帝国大学が極秘で進めていたというこの歴史的事実を基に作られたフィクション映画。昨年20年の終戦記念日8月15日に放送されたNHKのテレビドラマ版『太陽の子』とは異なる視点で描かれた日米合作映画で、昨年20年7月に逝去した三浦が出演する最後の作品となった。
海軍からの密命を受け研究に勤しむ実験好きの若き科学者・石村修(柳楽)と研究員たちは、「今研究しているものが完成すれば戦争は終わる。世界を変えられる」と、託された国の未来のために情熱的に原子核爆弾の研究開発を進めていた。そんな日々が続く中、幼馴染の朝倉世津(有村)が建物疎開で家を失い石村の家に住むことに。修の弟・裕之(三浦)も戦地から一時帰宅し、3人は久しぶりの再会を喜んだ。
3人は幸せなひとときを過ごすも、修と世津は、戦地で裕之が負った深い心の傷に気づく。また、物理学研究の楽しさに魅了されていた修も、原子核爆弾の破壊力の恐ろしさを知り、葛藤を抱えていた。そんな2人を力強く包み込む世津だったが、彼女はただ1人、戦争が終わった後の世界を考え始めていた。
それぞれが葛藤を抱える中で、運命の8月6日が訪れる。日本中が絶望に打ちひしがれる中、それでも前を向く修が見出した新たな光とは?
『映画 太陽の子』は8月6日に全国公開される。
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