『シックス・センス』『サイン』のM.ナイト・シャマラン監督がメガホンを取り、気、水、土、火という4つの王国が世界を司っていた時代を描いた3Dスペクタクル映画『エアベンダー』。だが、4つの王国が“あるルール”により均衡を保ってきた平和は、火の国の叛乱によって覆ってしまう。
この映画で、叛乱を起こす火の国の王子ズーコを演じているのが、アカデミー賞作品賞に輝いた『スラムドッグ$ミリオネア』で主人公ジャマールを演じたデヴ・パテルだ。今回、ジャマールとは180度異なる役を演じたデヴが、本作のキャンペーンのためシャマラン監督らと来日。本作への出演への経緯から、撮影裏話までを語ってくれた。
──まずは日本で行われたプレミアイベントの感想をお聞かせください。
デヴ・パテル(以下、デヴ):日本は初めてでしたが、日本のレッドカーペットを歩けたことは、僕としては大変嬉しかった。みなさんとても優しかったですし、今まで行ったプレミアのなかで、もっともストレスフリーで(笑)、とても楽しむことができました。
──この役を得るためにオーディション用のテープを送ったそうですが、どんな内容を収録したのでしょう? また、この役のどんなところに惹かれて応募したのでしょうか?
デヴ:「僕に役をください」って言っているテープです(笑)。この役はワールドワイドなオーディションだったので、特定のシーンが指定されていたんです。だから、送ったテープでは、そのシーンのセリフを喋っています。
この役に惹かれた理由は、とにかく自分としては、『スラムドッグ$ミリオネア』とはまったく別の役を演じたいと思っていたので、これほど違う役もないなと魅力を感じたわけです。それとズーコ自身、白黒はっきりした悪役ではなく、心の葛藤をもっていて、どちらかというと父親の愛情に飢えている青年であること。普通の悪役ではないところに魅力を感じました。
──監督からはどんな風に演じてくれと言われました?
デヴ:彼は今、すごく道に迷っていると言われました。善と悪の道のちょうど中間にいて、どちらを選べばいいかを、彼自身がすごく葛藤している。どちらかに行きそうになっては戻ってきて、というところがあると。
──今回はCGを使ったアクション大作なのでグリーンスクリーンでの撮影も多かったかと思いますが、通常の撮影とはやっぱり違いましたか?
デヴ:そういう意味では僕は、すごくラッキーでした。というのも、グリーンスクリーンでの撮影では、ほとんど相手役がいてくれたからです。なので、ボールに対して喋りかけるとか、そういうことは全然しないですみました(笑)。とはいえ、火の玉が飛んできます、これくらいの大きさですと言われれば、それに対してどういう風に反応すればいいのかを考える必要があります。往々にしてちょっと大げさになりがちなんですけど(笑)。それを抑えながら演技するのは苦労しました。
──ずっと習ってきたテコンドーは役に立ちましたか?
デヴ:もちろんです。この映画の60〜70%は体を使うシーンですから、テコンドーを学んで、体を鍛えていたことは大変役に立ちました。
──今回の映画で、全世界の人にデヴさんがアクションをできることが伝わったら、次はヒーロー役のオファーが来るかも知れません。
デヴ:もし来たら、喜んでやらせてもらいます(笑)
──『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督と、本作のシャマラン監督。一緒に仕事をしてみて、2人の相違点があれば教えてください。
デヴ:ダニー・ボイル監督は、僕に大きなチャンスをくださった方。それまでなかった自信というものを与えてくれたので、僕にとっては一生、特別な存在であり続けると思います。一方のシャマラン監督は、本当に驚くべき若さに満ちあふれています。
演出の違いで言うと、ダニー・ボイルは即興が多い監督えで、急に注文を出してきます。例えば『スラムドッグ$ミリオネア』で、高層ビルの屋上で僕が兄弟とケンカするシーンがあるんですけど、急に「殴れ」って言われて、「え、今から殴るんですか」って(笑)。そういうところがありました。
対してシャマランは、全部ストーリーボードに描いて、それにそって撮影するタイプ。常に自分に正直に作品づくりをしている監督だと思いますね。
『エアベンダー』は7月17日より丸の内ルーブルほかにて全国公開される。
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